最後の生粋の今戸焼の人形であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)の養父である尾張屋5代目の兼吉翁の作ではないかと思っている人形です。筆のタッチが春吉翁晩年の作に比べると大味な感じ。赤部分には明治特有の紅系の顔料が使われている点、緑部分に花緑青(酸化銅)が使われているなどの理由でそう思っています。晩年の春吉翁の人形のレパートリーにはこの型が入っていなかったのか、昭和になって造られたこの人形はまだ観たことがありません。
お母さんの眼のまわりに赤っぽいぼかしがあるのですが、紅を水溶きしてぼかしたような感じには見えないので粉のまま刷毛で刷り込んだものかどうか?お母さんの着物の色が渋いです。何色なのか?