おはようございます。
生き生き箕面通信1763(131020)をお届けします。
・「いのちがいちばん輝く日」――寄り添うホスピス
死にゆく患者さんたちのその最期の瞬間までを丁寧に実写したドキュメントを観ました。「生命がいちばん輝く日」と題するそのドキュメントの舞台は、琵琶湖の東のほとり、近江八幡市のホスピス「希望館」。ヴォーリズ記念病院に併設された施設です。
上映会は箕面市立病院のリハビリ棟4階のいろはホールで昨日10月19日にボランティアグループの主催で開かれました。会場いっぱいに埋めたのは、ほとんどが年配の女性でした。連れ合いを看取るという「覚悟」をお感じなのでしょうか。
死を迎えるための施設、ホスピスでは「患者に寄り添う」ことを大切にすることが実際のケアを通して描かれたドキュメントです。ホスピス長の細井順・医師は白衣は着ていませんでした。
細井さんは自分が入院したときに「(主治医が)白衣で来られると、それだけで非常にでっかい存在に見えて、自分が小さく思えたのです。パジャマ姿の自分が」という経験から、白衣はやめたのだそうです。「最初から同じ、人間目線、弱い者目線でみる」ことが、寄り添いの第一歩としているそうです。
ホスピスでは、少しでも長く生きるようにする延命主義ではなくて、最期のときをどのように人間らしく逝くかに重点があり、それを一人ひとりの患者さんにどう具体化するかに心を砕いている様子です。
死を間際に控えたお爺ちゃんが、生まれたばかりのお孫さんに東京まで会いに行くため、ベッドのある車両がついた新幹線で横になりながら、最後の力をふりしぼって出かける……。
ホスピスの極意は、傍にいることのようです。傍にいて、旅立つ人のすべてを受け入れる。「あなたそれでいいじゃないですか。よく頑張ってきたじゃないですか。精いっぱいやったじゃないですか、何も恥じることはない、というような、存在そのもののケアをする。それは家族に対しても」と、細井さんがパンフレットの対談で語っていました。
対談相手の柏木哲夫も、「やっぱり人間、そのまま受け入れてもらえたらね、それが一番うれしいですよ」と、同じ考えでした。柏木さんは、よく知られているように、日本で最初のホスピス活動を淀川キリスト教病院ではじめ、今もその名誉ホスピス長(金城学院学院長)です。
この「傍にいて、すべてを受け入れる受容」は、簡単なようですが、やってみるとなかなかむずかしい。すべてをそっくり「受容」することは、「傾聴」することと同じく、本当にむずかしい。こちらの人間性の問題だとは分かっているのですが。
それでも、お互いなんとか心穏やかに旅立ちたいものですよね。