おはようございます。
生き生き箕面通信1746(131003)をお届けします。
・決められないアメリカ政治――強欲資本主義の行き着く先は?
アメリカは10月1日から予算の新年度に入りましたが、本日10月3日になっても予算成立のメドがついていません。立ち往生のまま「オー、ノー」と繰り返しています。オバマ大統領と共和党とのチキン・レースはどちらが先に降りるのでしょうか。
日本の決められない政治を嘲笑っていたアメリカは、いまや自分たち自身が「決められないアメリカ」を世界にさらすことになりました。10月17日までに妥協が成立しなければ、アメリカは債務不履行(デフォルト)となり、米国債が暴落、世界経済は大混乱に陥る事態が現実味を帯びるようになっています。
こうした事態を招いた本当の原因は、アメリカの「グローバル資本」といえます。あえて特定すれば「アフラック」というアヒルの広告で知られる保険会社などがその代表といえます。
共和党が強硬に反対しているのは、「オバマケア」と称される医療保険改革のための対策費が予算案に盛り込まれているためです。共和党の一部が旗を振って、同党内の穏健派をも引きずって反対の旗を振り続けています。法案として成立したオバマケア自体、アフラックなど保険業界の反対で、見るも無残に姿をゆがめられました。
保険業界は、「わが世の天下」を揺るがされてなるものか、と巨額の資金をばらまいて共和党議員を中心に”買収”するロビー活動を続けてきました。アメリカでは、ロビー活動による政策実行の押し込みが認められており、カネで政策を押しこむことが常態化しています。驚くことに、アメリカ政治は、「カネで政治を売買」される実態があるのです。
アメリカは、自由診療と称する制度で、要するに自己責任を徹底する考えを主流としてきました。しかし、病気になった場合の保険などはその必要性が古くから指摘され、ルーズベルト、トルーマン、ニクソン、ビル・クリントンなどの歴代大統領が取り組んできました。しかし、その都度、保険業界などの反対でつぶされてきました
だから、今でも高い保険に入っていなければ、例えば盲腸の手術を受けただけで持ち家を手放さなければならない事態も誇張ではないほどとされます。病気になっても、病院にかかれず哀れをとどめる事態が日常茶飯事となっています。
オバマ大統領は、皆保険実施を中心とする医療保険改革を掲げて大統領に当選しました。このオバマケアはオバマさんにとっては「1丁目1番地の政策」です。ところが、国庫からの支出が必要となる制度に対し、共和党の超保守派は「自己責任を果たせない人間に国のカネを使う必要はない」と強行に反対。先の選挙で当選した超右翼のティー・パーティー議員などが共和党全体を引きずりまわす形の空気を作り出しました。
そうした空気を作り出してきた陰には、人々がどうなれ自分さえ儲かればいいという極めて身勝手な強欲資本主義勢力のあらゆる手を尽くした「世論操作」があります。人々は、その世論形成対策に容易に乗せられてきました。
かつては、「共産党はコワいぞ。赤狩りしないと、アメリカが共産化される」と、いたずらに人々の恐怖をあおるマッカーシズム旋風が吹き荒れました。この時代は、喜劇俳優チャップリンさえも「赤呼ばわり」され、国外に避難せざるを得ないほどで、そのチャップリンがアメリカに帰国することはついにありませんでした。
アメリカという社会は、いまも「自由や正義」を振りかざしていますが、アメリカ政治の実態は強欲資本主義勢力にのっとられている、といえます。強欲資本主義勢力とは、産軍複合体を中核とする勢力であり、グローバル資本と規定される勢力、あるいはウォール・ストリートと別称される金融勢力などの総体です。
こうした勢力にとっては、いまや国境という枠の「国」に縛られるのは窮屈です。世界全体、地球を丸ごと支配する方向へ動いています。そのためには、この際、アメリカが崩壊するのも「歓迎」すべき事態なのかもしれません。畏るべし、強欲資本主義!