カルテ番号 よ・６（3）
病院は苦手だったが、強く言われては仕方ない。
結果は不明だった。
しばらく様子を見ましょう、との事だった。
痛みはないし、通院する気もないので、その旨を雇い主に報告した。
親も親戚も、このまま治らなかったら、と心配した。
何とか回復できる方法や病院を探した。
遠くの病院まで連れて行った事も数回あった。
だが、どこでも答えは変わらない。
炎症もないし、神経もストレステストで陰性だった。
そうこうしているうちに、百合の精神も不安定になった。
度重なる病院や、周りの心配が重荷になったのだ。
しばらく、温泉地で療養させよう、という話になった。
黙々と働くだけだった百合は、親戚が給料のほとんどを貯金していた。
数か月療養させても、充分だった。
乗り気でない百合は、旅館やホテルは嫌だといった。
そして気の使わないウイークリーマンションなら、と妥協した。
北関東の温泉地に居ついて、２週間になった。
当初は初めての土地で、緊張して暮らしていた。
それが、一週間で馴染んできた。
百合には、珍しいことだった。
一日いて、楽だと感じていた。
何もしなくても、退屈でもなく、焦りもなかった。
もしかしたら、前世はここで暮らしていたのかも、と思った。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
（過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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