水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・763」

2015-11-27 19:32:45 | Weblog



カルテ番号 め・3(11)

院長は軽く腹部を触ってから、頭に触れていた。
「お腹はやわらかいですね。
いいですよ」
礼子は、何だか身体が温かくなって、ぽやっとしていた。
話したい事が沢山あるのに、気が緩んでしまっていた。
「いい気持ちです」

それでも、目を瞑ったまま10数年前からの事を少しずつ話し出した。
50歳前から、次第に気持ちが暗くなってきた事。
そして、閉じこもりがちになり、布団の中からも出たくなくなってきた。
そんな礼子に夫は優しかった。
それが、申し訳なく思って、自分を責めた。
子供が出来なかったせいもあって、礼子はより自分を責めた。

そして、夫の急逝。
どうしていいか、わからなかった。
生きているのが辛かったが、死ぬ勇気もなかった。
八方塞がりだった。
そして、偶然、ここのHPを見つけた。
メールを出すのさえ、かなり勇気がいった。
そんな話を、院長は黙って聞いてくれていた。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)

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