水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・290」

2014-08-04 19:40:25 | Weblog



カルテ番号 な・10(11)

千代は一時宗教の集まりに参加していた。
言葉が輝くようで、真実が自分でも判断できる気がしていた。
やがて集まる人達も、それを説教する人達も表向きの言葉と違う心があると知った。
嫉妬も不平不満もあるのに、その時だけは綺麗事の言葉を繰り返す。
もっとドロドロした関係も行動もしているのに、言葉だけはマニュアルを使う。
人社会は、どこも同じだと思った。

宗教に関係すれば心や精神が綺麗になれるなどということはない。
それらを利用して商売にしている側と、自己満足を得る為にお金を払う信者がいた。
信者だって、よほどの人でなければ様々に気付いているはず。
それなのに、見ないふりをして他の人を誘おうとする。
そして、他の宗教組織とお互いで、とても仲が悪い。
だから心や精神を綺麗になどという人達は信用できない。
綺麗にすることは、他人に強要するものでも強調するものでもないと思った。

院長は毒舌というが、至極当たり前を話してくれていると思う。
「夫婦の和が世界の平和につながる、という言葉があります。
では独身は平和に貢献しないのか、という横槍は置いておきましょう。
私はこの言葉を、深い言葉だと思っています。
ある意味、その通りだとさえ思っています」
千代は、その院長の言う事が理解できなかった。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)


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