ロシアによるウクライナ侵攻に関するニュース報道に関して、特にロシア発のそれは真実か、フェイクかわからない。外国発のネットの情報などを得ているロシア国民にとっては疑問符が浮かんで、真偽を判断する余地はありますが、そうでなければロシアのマスコミ報道を信じることでしょう。
さて、本書は国家が本を読むことを禁じ、本を持っていれば、家ごと焚書される近未来小説です。なぜ、本を読ませないのか?「あらゆるよけいな込み入った考え」を発する元になるからであり、情報に関しては「単純化」された中身しか国民に与えない。国家にとってはこの方が国民を牛耳りやすいはず。これは現在でも通じることです。焚書はしないが、読書離れに伴い読書をしない国民が増えることと共に、短文で省力されたものがSNSで発信されています。国家の施策ではなく、人間自らが本書の内容の引き継いでいます。人間にとっての読書の意味は明々白々です。焚書されるのであれば、本を暗記する、それを口伝えていく人々が存在することが未来への明るい灯になるところでストリーは終わります。
本書の中にとても気になる箇所がありました。それは
「ぼくらは二〇二二年以降、二度、核戦争を起こして二度とも勝利した!」
であり、この通りにならないことを祈念します。
『華氏451度』(レイ・ブラッドベリ著、早川文庫、本体価格860円、税込価格946円)