元気なころは空手の道場を開いていた、60歳の内藤はパーキンソン病を患っている。できるだけ自力で活動しようと、原宿を歩いていたが、足が前に出ず、最後は転倒。これを見ていた、全く見ず知らずの3人が彼を助け、自宅まで送り届ける。「死ぬまで自分でトイレに行く」と書かれた紙が部屋には貼られており、そのために空手の演武が基本になっている体操を自ら考案し実践していた。彼ら3人はこの体操を基本にして、パーキンソン病罹患者、そして、高齢者へのダンスに仕立て上げれるか模索します。
現代のIT技術により、全世界を巻き込んだイベントを開催する計画にまで発展。瓢箪から駒ではないが、多くの人たちが助け合い、内藤も転倒騒ぎから生きがいを見いだすまで至る、世の中では何が起こるかわからない。彼らは社会の人たちの目から見れば、アウトロー的存在かも知れないが、長所を活かせば活路は拓けることが読み取れました。書名の「落葉」も、その現象を起これば新芽が芽生え、新しい息吹が感じられます。
『落葉』(高嶋哲夫著、幻冬舎文庫、本体価格710円、税込価格781円)