伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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  感性の趣くままに-。

奥伊勢、五里山の「化け蒼石」(ばけあおいし)の露頭を探る

2015年02月20日 | 石のはなし

度会町川口の、一之瀬川に架かる五里山橋

 二月に入って半ばが過ぎ、冬至の頃に比べて少し日が落ちる時間が長くなった。昨年の12月からほぼ2ヶ月が経ち、冬篭りをしていた我が輩こと「伊勢すずめ」も、やっと生気が蘇ってきた。この間、標本と蔵書の整理やら、古い家屋の修理などに追われ、ブログの更新もままならず、山野へも殆ど出ず仕舞いだった。
 外気は、まだ冬型の気圧配置がくずれず、肌寒く冷たい北西の季節風が吹きつけている。「春寒料峭」、「三寒四温」となりつつあるものの、歳のせいか寒さには閉口している毎日である。

 そんな時、大阪のI氏からメールが届き、所用で志摩に行くので、半日ほど鉱物でも水石でもよいから、当地方の産地を案内して頂けないかとのこと…。当方の都合上、平日であったが、久しぶりにフィールドへ出る機会を与えて頂いた。
 体も鈍っていたし、I氏には今月の中旬に、丹生鉱山周辺の鶏冠石の産地と、七華石の採れる藤川の川原などに御案内をさせて頂いた。

 帰りに寄った度会町の火打石林道では、少し吹雪きに出あったが、収穫はまずまずであった。ただ、この日行けなかった五里山の「化け蒼石の産地」への林道が、昨夏の大雨で崩れて以降どうなっているのか、フィールドに出た事で、その後の様子が少し気になり出した。

 そこで、少し暖かそうな好天の日を選び、車で林道に入ってみた処、崩落箇所はきれいに修復が成されていた。
 ここは、宮川に注ぐ一之瀬川右岸の山地の奥で、度会町川口の一之瀬川に架かる五里山橋を渡り、さらに支流の五里山川の渓流に沿う仮舗装の林道を3kmほど入った谷奥で、牛草山への登山口付近に当たる。林道の入口付近には、五輪堂や伊勢神宮の茅場の山があり、道は途中までは渓流の左岸を遡る一本道である。

五里山林道入り口付近の、伊勢神宮の茅場

 「化け蒼石」の産地へは、さらに源流へと分け入るが、この先は分岐路があって少し判りにくくなる。当地は川の源流付近で、小滝の滝壺手前の小狭い川床や川岸に、ここだけにしか無い、独特の緑色岩の岩盤が露頭を成している。水流に浸っているこの岩盤の表面が、実に見事なほど珊瑚状の突起に溶食されていて、ここから流れ出たと思われる手ごろな転石は、「五里山石」として、ごく一部の水石家にのみ知られている。
 鑑賞石としては、銘石の伊勢古谷石や鎧石とは全く趣きを異にする、五里山だけの絶妙の「名石」であろう。
 

渓流奥の化け蒼石の露頭

 この独特の緑青色(ろくしょういろ)をした岩石は、水石としては青石の部類であるが、外観の特異さと共に、水中と乾燥状態では色合いがかなり変化する点(水中では鮮やかな青味がかった濃緑色を示す)が違っている。その理由はよく解らない…。
 岩石名としては、 塩基性火成岩組織を残す緑色緻密な片状岩(輝岩?)で、三波川変成帯を構成する広域変成岩の一種なのだが、正式に同定はされていない。研磨面をみると、「角閃石・緑泥石・点紋片岩」と言った感じである。


この日採集した「化け蒼石」・ サイズは 7㎝~13㎝



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