これまでに、三重県の歌謡曲やご当地ソングについて、かつて発売されたEP盤レコードの紹介を中心に、幾度かブログに取り上げてみたが、その後も何枚かご当地ソングの歌謡曲や、未知のローカル盤等、市町村単位で制作・発売されたレコードがある事が判り、出来る限り入手してみた。( 参照 「レコード盤に残る三重県の歌など…。」 )
又、三重県出身の歌手とそのヒット曲等についても、かつてこのブログの中で触れておいたが、戦前から戦後にかけてのメジャー歌手で、特にマドロスもの等で大ヒットを飛ばしていた、松阪市出身の「バタヤン」こと、田端義夫さんを忘れていた事に気づいた。
彼の代表ヒット曲集のLP盤「田端義夫 オリジナルベスト/かえり船~大利根月夜」(テイチクレコード)は、ずっと収蔵レコードの中に仕舞ってあった。
ちなみに、彼の歌った数多くの歌謡曲の中にある「二見情話」は、伊勢の「二見ヶ浦」ではなく、沖縄県名護市の大浦湾に臨む「二見」地方を歌った曲である。
以下は、その後判明した三重県のご当地ソングの歌謡曲(戦後のEP盤)と、音頭もの等(小唄・町歌・町民歌・市民歌 等を含む)のリストである。
◆ 三重県のご当地ソングの歌謡曲(補遺)
1.夢はふるさと尾鷲節 1986年(片面 カラオケ)
作詩 ・作曲 青木玲二
唄 大脇康充
ビクター音楽産業
2.熊野川ブルース 1988年 (片面 カラオケ)
作詩 太田 殖 ・ 作曲 中島昭二
唄 杉浦裕美
ビクター音楽産業
3.竹川竹斎翁の歌 1981年?(片面 射和小唄)
作詞 ・作曲 長谷川健三
歌 射和コーラス
HG. RECORDS CO.
4.湯の山の夜 発行年記載無し(片面 なみだ橋)
作詩 白鳥朝詠 ・ 作曲 猪俣公章
歌 早瀬一也 ・小桜明子
ビクターレコード
◆ 三重県各地の「音頭もの」(小唄・町歌・町民歌・市民歌・民謡等を含む)のリスト
(但し、伊勢音頭、尾鷲節は、盤種多数につき省略します)
桑名音頭/北勢音頭(東芝EMI)
ながしま音頭/新長島音頭(ビクター)
川越音頭/伊勢朝日音頭(東芝EMI)
員弁音頭(員弁郡連合婦人会企画・発行のソノシート)
大四日市まつり音頭/カラオケ(クラウン)
四日市小唄/四日市哀歌(エムプレスレコード)
下海老音頭/下海老音頭 軽音楽 ~四日市市下海老町~(SFBレコード)
四日市盆踊り唄/鈴鹿馬子唄(エムプレスレコード)
湯の山小唄/鈴鹿おどり(テイチク)
湯の山音頭/恋の湯の山(コロムビア)
市民の歌 鈴鹿の空は微笑む/鈴鹿おどり(テイチク)
三重県民謡・正調 鈴鹿馬子唄/和歌山県民謡・串本節(ビクター)
伊勢津小唄/同名別曲(ビクター)
高虎音頭/いせ津小唄(MISAKA ONPA CO.)
嬉野町町歌/新嬉野音頭(コロムビア)
松阪市民歌/松阪鈴ふり音頭(コロムビア)
新松阪音頭/伊勢ばやし(東芝EMI)
松阪かわさき/しょんがい音頭(コロムビア)
射和小唄/竹川竹斎翁の歌(HG. RECORDS CO.)
大台音頭(ソノシート)
多気町音頭/多気町音頭 軽音楽(ビクター)
明和町歌/明和音頭(ビクター)
伊勢矢持音頭/平家哀歌(東芝EMI)
二見かえる/竿燈音頭(テイチク)
鳥羽音頭/鳥羽金刀比羅(コロムビア)
阿児音頭/阿児音頭 演奏(東芝EMI)
波切音頭/新大漁音頭(ビクター)
奥志摩音頭/奥志摩小唄(コロムビア)
新浜島音頭/海のリズム~行進曲(コロムビア)
五ヶ所音頭/五ヶ所初恋・入江町(テイチク)
宿田曽音頭/宿田曽小唄(CBS・ソニー)
南勢音頭/カラオケ(東芝EMI)
南島音頭/カラオケ(クラウン)
民謡 紀伊長島節/紀伊長島旧盆踊唄(クラウン)
熊野音頭/熊野小唄(ローオンレコード)
伊賀上野小唄/伊賀上野音頭(ビクター)
伊賀町民の歌/伊賀町音頭(日本コロムビア)
名張音頭/名張音頭 軽音楽(テイチク)
~ 以下は、78 回転・10インチのSP盤です ~
新民謡 躍進四日市(SP盤・コロムビアレコード)
新民謡 お伊勢まゐり(SP盤・コロムビアレコード)
俚謡道中伊勢音頭(SP盤・タイヘイレコード)
民謡 桑名まつり(SP盤・キングレコード)
亀山小唄(SP盤・ツルレコード)
最近、C.D に代わり、アナログ・レコードの良さが再認識されつつあるとの報道がなされ、旧来のアナログ派やレコードのオールド・ファンにとっては、耳寄りな情報が最新のニュースとして伝わって来た。
EPの新盤を最後に買ったのは、むぎふみスターズの「麦畑」(「オヨネーズ」盤とは別の、1989年9月21日、アポロン音楽工業株式会社発売。オヨネーズと共作の別盤)が最後だったかと思っていた処、大手のレコード会社・ソニーが、近年のアナロク盤の人気に乗じてか、かつてのレコードの自社生産を、約30年ぶりに再開するとのことである。(中日新聞・6月30日の朝刊 ~ 6面参照)
レコードファンらにとっては、ありがたい話である。
楽曲の大衆向けの録音媒体が、昭和年代末以降はカセット・テープや8トラ、レーザー・デスクの時代を経て、雑音の無い手軽なC.DやDVD(デジタル音波)がずっと主流であった。
平成年代に入ってからは、国産のレコード・プレーヤーの生産が殆ど無くなり、一部の音楽ファンにしか鑑賞されていなかった、かつてのレコード盤音楽(アナログ音波)への回帰は、音響や音域、音質の良さとは別の、聴覚を鋭く刺激する何かがあるのかも知れない。
かつてのアナログ盤は、EPにしろLPにしろ、盤面の状態やジャケット等の保存程度の良否によって、かなり値打ちに差があるが、その後も全国の主要都市を中心に、中古レコードの専門店があって、限られたレコードファンをターゲットにずっと営業を続けて来ているし、一部の古書店でも取り扱っていた。
生産枚数の数少ないレア盤や、廃盤などの中古レコードの中には、高額を極めたものもあって、それらのジャケット写真入りのランク付けの書物、「秘蔵 シングル盤天国」(1996年、株式会社 バーン・コーポレーション発行。邦楽編と洋楽編がある)が出版された事もあり、コレクターやファンらは全国各地の中古レコード店はもちろんの事、お宝探しに骨董市(ノミの市)や古物商を巡り歩いたものだ。
戦後間もない頃の昭和の時代には、大概の家庭に戦前からの蓄音機があり、78回転のSP盤(10インチ盤)を、鉄針のチリチリ音や盤面のキズによる針飛びなどがあっても、それなりに楽しんでいたものだ。
そして、昭和年代の半ば頃には、45回転や33回転のコンパクトなEP盤(ドーナッツ版)が出回り出し、プレーヤーも持ち運びの出来る程に小型化し、レコード針も長時間の磨耗に耐える、サファイア針等へと変わっていった。
やがて、レコード盤も長時間楽しめるLP盤(10インチ盤と12インチ盤がある)が多量に生産され始め、音響装置もモノラル・タイプから、大型のオートリバースのステレオ・オーディオへと進化していった。
当時の人気歌手らのヒット曲を収録したLP(33回転)や、クラシック音楽等の洋楽盤は、少し値が張ったが、人気歌手の新曲集やスター歌手らのアルバムが出ると、こぞって買い求めたものだ。
そのような時代のレコード商品には、きれいなスチール写真(ペラジャケ)や、タイトル帯、ブック型の数十曲収録のライナー付きの豪華なアルバムをはじめ、歌手のブロマイドやポスターまで付いた、ファン・サービスに創意を凝らしたものまであったが、何んと言ってもEP盤のジャケットは、国内盤、海外盤、邦楽、洋楽を問わず、見るだけでも楽しいものがあった。
EP盤から、カセット・テープやCDへの移行期間の間には、雑誌形式のソノシート盤の波及した時期があったのも、今となっては懐かしい限りである。