伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

過ぎゆく伊勢の夏に…。

2013年08月20日 | 随筆・雑感・回想など
Hazakuranomiti

 立秋が過ぎ、お盆が過ぎ、8月も下旬となった。残暑と言うには、あまりにも異常な猛暑の真夏日が、もう10日以上も続いている。 近所に在住の高校時代の同級生(男性)が、熱中症のせいか、自宅の室内で倒れ、戸閉りをしたままで数日間、隣家の人々にも気づかれずに、独りひっそりと亡くなっていたらしい。そこに住んでいた事すら知らず、交流は全く無かったのだが、お盆の前にその話を聞いてあ然とした。気の毒と言うより、実に哀れそのものであった。 とにかく、一日中暑い・・・。 この暑さのさ中、伊勢の市街では伊勢神宮の御遷宮に伴う、内宮・外宮への「お白石持」のイベントが、伊勢ならではの、「町単位」のハッピ衣装や工夫を凝らした陸曳き(おかびき)・川挽きなど、市民総出の奉仕事業として取り行われている。市街地は交通規制が成され、今や全国から大勢の参加者が奉献団に加わり、来訪の観光客らと共に大変なにぎわいをみせている。 この20年に一度の催しも、回を重ねるごとに派手で粋な装いになり、人的にも質的にも今年は最高潮に達した感がある。 我輩は、前々回(40年前)に参加したきりで、老若男女入り乱れてのこの過激なお祭には、体がついてゆかず、世代交代と決め込んでの傍観であるばかりだが・・・。
Osiraishimoti
 さて、今夏の暑さはいつまで続くのであろうか・・・。この処、各地で交通事故のみならず、水難事故やゲリラ豪雨による痛ましい水災害が後を絶たず、連日死傷者のニュースが報じられている。 我輩も、人ごとでは無いと思う次第だが、とにかく、動く度に「ああ、たのむよ」との、自身の為のオマジナイを唱えながら生活をしている。その意味は、
 わてるな !  んぜん(安全)確認をせよ!  いちょう(体調)を考えて行動せよ!  んびりと暮らせ!  り(無理)をするな!  くばる(欲張る)な!

である。 
 今までは、仕事にしろ、スポーツにしろ、学術・学問・芸術にしろ、車の運転にしろ、プロ意識で取り組み頑張ってきたのだが、とにかくアマチュアに比べて、いかなる職業においても「プロ」はすごい人だと思っている。 そのプロなる人々の条件としては、アマチュアの成す事に比べて、
 1.仕事のスピード 2.仕事の正確さ 3.結果の出来栄え 4.使う専用道具の高質さ 5.体の健康管理 
等が、どだい違っている。 職人にしろ、商売人にしろ、スポーツ選手にしろ、芸術家にしろ、芸能者にしろ、学職者にしろ、政治家にしろ、プロは使う時間においても、材料においても、お金においても、話術においても、少しの無駄も無く高度な仕事をやってのける。そして、製作品や成績、研究、事案の処理など、アマチュアとは次元の違うレベルの結果を、万人が認める形にして生み残すのだ。 そんな事を考えながら頑張ってきたのだが、寄る歳には勝てない。昔ならとっくに年金生活の、いわゆる「ご老体」であるはずなのだが、食う為には、老後の悠々自適の生活など程遠い現状である。 これまでわが身を支えてきて、老朽化しつつある体内の五臓六腑のみならず、五感までも当分は酷使し、これから先々まで仕方なく無理をしそうである。
Kinsuibashi
 気が付けば、季節の移り変わりのように、わが身体も夏が過ぎ、秋風の如く侘しさをいだきながら、冬枯れへと、まっしぐらに向かう途上のようなもの・・・。 過ぎゆく伊勢の夏-。花火大会や盆踊りに、夏祭りもたけなわ・・・。秋の御遷宮も間もなくである。  同級生の急逝もあってか、「祭りの後」の寂しさにも似た人生の晩年を、独りひしひしと感じながら、とにかく「後の祭り」にならないように、余命ある限り日々の仕事を続けるのみである。 そして、一日いち日、その日暮しの「朝の目覚め」に感謝をし、「夕べの寛ぎ」に掌(て)を合わせ、お経でも唱えながら寝床につくのがいい・・・。周りには猫や野鳥がいて、「生きる事の自然さ」を教えてくれる。


Isuzugawanokaryuu



 


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生活の中の石の道具、あれこれ

2013年08月01日 | 石のはなし
Hiutiishi

 石は古来より、石材や宝飾品として多方面に使われている。古墳を見れば、その殆どが石材での構築であり、石棺や数々の副葬品も岩石や鉱物を加工した物である。

 石材にも色々な種類があり、岩質や属性によってそれぞれ使い分けが成され、用途も幅が広い。 私たちのライフゾーンを眺めると、鉄道軌道のバラスト(砂利)やコンクリート骨材をはじめ、石垣、石段、石橋、石の建物、石塀、墓石、石碑、標石、石灯籠、石像、スレート瓦など、数々の建築用の石材があり、家庭内の実用品や調度品を見ても、砥石や磨き砂、石臼、硯石、碁石、ブックエンド、文鎮、風鎮、彫刻品、印鑑、篆刻用材、軽石、パイプ、灰皿、花瓶、食器、根付など色々とある。又、宝飾品や顔料となると、原石の種類も数も夥しい限りである。
Sekiban 以上のほか特殊な石製品として、戦前の学用品であった「石板と石筆」、明治期までは伊勢神宮で発火道具として使われていた「火打石」(冒頭に掲載の写真)、そして特殊な珍しい石の器具として、「石の楽器や石笛」がある。
Sekkin
 石で出来た道具の発生は、原始時代に我々の祖先が使っていた打製石器や、その後の磨製石器にまで遡る事ができる。石鏃や石斧、石製のナイフなどである。 石を加工した調度品や宝飾品となると、古代エジプトやギリシャにローマ、インカにアステカ、インドに中国と、古代文明が栄えた国々に集中し、貴金属のほか瑠璃(ラピスラズリ)や翡翠、水晶、トルコ石、マラカイト(孔雀石)、玉(ギョク。玉髄・瑪瑙・碧玉・赤玉石など)、琥珀、蝋石(ろうせき。葉蝋石・滑石)、大理石、黒曜石などの鉱物、岩石が知られている。 我が国でも古代に碧玉(へきぎょく)や翡翠の加工文化が発生し、勾玉や管玉などが玉造部(たまつくりべ)のあった原産地や集積地から地方へと、物流のルートが出来て各地にもたらされているが、今に伝わる中国の石の工芸品に見る細工技術は、天下一品である。Rousekizaiku

 現在の日本においては、石屋さんの扱う各種の石材以外には、特殊な石の加工は山梨県甲府市等の量産地を除けば、それぞれの原石の産地や近隣の観光地など、ごく一部の地方に限られ、家内工業的に行われているに過ぎない。 三重県をみると、紀南(熊野地方)での那智黒石(黒色珪質頁岩~粘板岩)がある。熊野市神川町などで、地場産業として生産される高級硯石や碁石、文鎮、灰皿、各種の置物、そして原石のまま「水石」として、当地の観光土産品になり盛んに販売されている。
Natiguronosuzuri
 特に、昔から著名な石(岩石・鉱物・化石)の産地や、大規模鉱山のあった地方都市などでは、当地の加工工房から生産される石細工や石の民芸品などがあって、特殊な観光土産になっているKaruishi
例もある。 日本各地に点在する観光鍾乳洞や観光火山、温泉地などの土産物店をはじめ、中には鉱山跡がマインランド(鉱山遊園地)となり、園内の資料館(博物館)や売店において、数々の鉱石や石の標本と共に、繊細な石細工の土産物品を見る事ができる。(右に掲載の写真参照)ishizaiku
 国内で、石細工(石材を除き、宝飾品を含む)に用いられている主な石(岩石・鉱物・化石)は、だいたい次の通りである。
 那智黒石 ・・・ 三重県
 粘板岩・頁岩 ・・・ 山口県、福井県、岐阜県、長野県、山梨県、岩手県など
 菊花石 ・・・ 岐阜県
 石灰岩・大理石・鍾乳石・方解石 ・・・ 秋芳洞(山口県)、岐阜県、他
 紅簾片岩 ・・・ 四国
 カンカン石(古銅輝石安山岩)・・・ 五色台(香川県)、他
 浮岩(軽石)・・・ 秋田県、他
 黒曜石(黒曜岩)・・・ 北海道十勝、長野県、他
 翡 翠 ・・・ 新潟県糸魚川市
 ジャスパー (碧玉)・・・ 島根県玉造、他
 オパール(蛋白石)・・・ 福島県宝坂、他
 赤玉石(鉄石英)・・・ 新潟県佐渡、他
 水 晶 ・・・ 山梨県甲府市、他
 瑪 瑙 ・・・ 福井県小浜市、北海道道南地方、他
 錦 石(にしきいし。主に玉髄)・・・ 青森県袰月(ほろつき)、他
 琥 珀 ・・・ 岩手県久慈市
 アンモナイト ・・・ 北海道
 木の葉石 ・・・ 栃木県塩原温泉

 以上の他、動・植物の化石や珪化木、黒玉(ジェット。硬質炭化木)、埋れ木(半化石)、滑石、葉蝋石、蛍石、軟玉(ネフライト)等と共に、粘板岩や頁岩、凝灰岩、輝緑凝灰岩、チャート、黒曜岩、浮岩(軽石)、溶岩、蛇紋岩なども、地方によっては活用されている。


Nyuubati


 


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