伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

雨上がりの秋日和に、自転車で伊勢市の市街地を徘徊

2019年10月22日 | 伊勢

秋日和の伊勢市駅前の「外宮参道の風景」

 台風から変わった温帯低気圧のもたらした、昨日からの大雨も未明には小雨となり、一夜明けた10月22日の今朝は、時間が経つに連れて雲が晴れ、昼前にはカラリと晴れた秋日和となった。 大空にはかなりのちぎれ雲 ( 積雲 ) が西から東へと流れているものの、青空が次第に広がって、午後は雨上がりの爽やかな日射しの降り注ぐ、穏やかな秋日和となった。

 神無月も早や下旬となり、首都東京では天皇陛下御即位の「即位礼正殿の儀」が執り行われ、これから今年の暮れにかけては、元号が「平成」から「令和」へと移行した最初の年末年始となる事に合わせて、天皇陛下の御来勢 ( 伊勢神宮への御参拝 ) もある為、かなり慌しくなるものと思われる。


 そんな日の午後、ふと思い立って伊勢市内の町なかを、デジカメを持ってぶらりと自転車で徘徊してみた。 出来るだけ大通りは避け、旧街道や裏小路、狭いドブ板の路地世古 ( ろじぜこ ) など、今まで通った事のない市街地の裏町通りを辿って、旧参宮街道の「宮川橋」( 伊勢市宮川2丁目 ) まで行った。


宮川橋手前の曲がり角にある「宮川の渡しの案内板」


「宮川の渡しの案内板」のアップ


 この橋の真下は、かつての「宮川の渡し」のあった場所で、宮川右岸の堤防道路に入る曲がり角に、当時の版画図を拡大した写真を掲載した「案内板」が設置されている。
 橋が無く、渡し舟に頼っていた江戸時代から明治の初期にかけては、宮川にはこの他に下流の「磯の渡し」や、少し上流の「川上 ( かみ ) の渡し」などがあった。


伊勢駅すぐ西の昔のままの「開かずの踏切」


 町なかを徘徊すると、幼少の頃に眺めた昔ながらの風景は殆ど消えてしまい、市街地を囲む背後の小高い山並みさえもすっかり立ち消え、その風景が新開住宅地へと変貌してしまっている。
 今も変わっていないものとなると、寺社仏閣を除けば、近鉄宇治山田駅の駅舎ビル ( 正面 ) と、JR参宮線の「宮川の鉄橋」と、伊勢市駅すぐ西のかつての「梅花堂前の開かずの踏切」( 伊勢市宮後1丁目 ~ 2丁目 ) ぐらいであろうか … 。
 昨年まであったJR参宮線の「山田上口」の昔ながらの古びた「駅舎」は、簡素な作りの無人駅と化してしまっていた。


無人駅と化した、JR参宮線の簡素な「山田上口駅」


 昭和の戦後には、盛況をきわめた伊勢市駅西方の「銀座新道通り商店街」や、宇治山田駅前の「明倫商店街」なども、今は殆ど人通りも無く、中身はすっかり変貌し、シャッターを下ろしたままの仕舞屋 ( しもたや ) の方が多い様相である。
 メイン道路の「高柳商店街」や「浦の橋商店街」、「さくら通り商店街」 「浦口商店街」 「参宮通商店街」 「伊勢市駅裏商店街」などの中には、今も当時の名称を引き継いでいるものもあり、特に夏の「夜店」が風物詩でもある「高柳商店街」は、アーケード街となって車道ではなくなっているが、まばらな人通りは往来の通行人が殆どである。


現在の「しんみち商店街」の入口


 伊勢市駅前から外宮北口へと続いていた「参宮通商店街」や、宮後2丁目から河崎1丁目へと続いていた「伊勢市駅裏商店街」などは、今は一般道路の市道と化し、かつての商店街の名残りすら失せてしまっている。
 特に「参宮通商店街」が盛況だったのは、伊勢電鉄の走っていた戦前で、かつての「大神宮前駅」の駅前広場へと続いていたこの繁華街の面影を知る人は、もはやいないであろう … 。


現在の「伊勢駅前商店街」の入口


現在の「宮町名店街」の出入り口


 今も残る伊勢市吹上1丁目の「伊勢駅前商店街」や、伊勢市宮町2丁目の「宮町名店街」などのごく小規模な商店街も、内部の店舗は様変わりをし、殆どが喫茶店や飲み屋、カラオケ・スナック、飲食店など、夜の暖簾街となっている。
 河崎2丁目の八間道路の沿道にあった「河崎商店街」は、今年の初め頃に解体されてしまった。

 店舗といえば、昭和30年代には町なかの至る所にあった小売店は、今では殆ど見られなくなった。 八百屋や魚屋、精肉屋、タバコ屋、自転車屋、ラジオ屋、乾物屋、呉服屋、衣料品店、小間物屋、おもちゃ屋、駄菓子屋、瀬戸物屋、履物屋、傘屋、本屋、写真館 ( 写真屋 ) 、酒屋、金物屋、家具屋、文房具屋、時計店、布団店、化粧品店、豆腐屋、材木屋 ( 製材所 ) 、糸・毛糸屋、パン屋、和菓子屋、惣菜屋、米屋、瓦屋、質屋、パチンコ屋、昔ながらの宿屋 ( 旅籠 ) 、お好み焼屋などであろうか … 。


 自転車でゆっくりと走っていて、特に大きく変わったなと感じた風景は、御幸道路の沿道、伊勢市駅前から外宮前へと続く外宮参道の通りや、宇治山田駅前の周辺、それに旧伊勢電跡の市道の沿道、勢田川筋の両岸などである。
 又、道端や町なかに殆ど見られなくなったなと思ったものは、道しるべの「標石」や公衆電話、特定郵便局と赤い円筒形の郵便ポスト、児童公園の砂場、そして映画館 ( 映画館は近年、曽祢2丁目に「伊勢新富座」が一軒だけ復活をしました ) や銭湯も数少なくなった。


〒マークのある民家の前の「昔ながらの赤いポスト」( 伊勢市曽祢2丁目の裏通りにて撮影 )


 逆に昔は無かったもので、際立って目に付いたものは、家々のエアコンの室外機やパラボラアンテナ、鉄柱ポール上の四角い郵便ポスト、路面のマンホール、ゴミの集積箱、赤い消火栓や消火器、歩行者用の信号機、飲物やタバコの自動販売機、コンビニエンス・ストア、そして、電柱などに貼られたその場所の「海抜表示の貼紙」であった。
市街地の各所に見られる「海抜表示の貼紙」( 伊勢市曽祢2丁目の裏通りにて撮影 )
 最後に、伊勢市内に昔ながらの「赤い円筒形の郵便ポスト」がある場所を記すと、朝熊山山上広苑の「天空のポスト」の他に、この日に市街地で僅かに目にした、以下の4箇所である。

 ・ 伊勢市宮後1丁目、 てんぷらの「西田屋」の前 ( 元 「梅花堂」の跡辺り )
 ・ 伊勢市曽祢2丁目、 「伊勢新富座」の近くの裏通り
 ・ 伊勢市宮町2丁目、 近鉄「宮町駅」前の、JR参宮線の踏切際の生花店前付近
 ・ 伊勢市宮川2丁目、 「宮川橋」手前の旧参宮街道のT字路の角


宮川2丁目の大通りに復活された「伊勢街道松並木」

   ( ※ 掲載写真は、全て10月22日の午後に撮影致しました。 )

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