伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

歌謡曲に見る三重の恋歌 ~ EP盤、他

2012年11月20日 | 三重の歌謡曲

 秋が深まり、街路樹も紅葉に彩られ、朝夕の肌寒さと共に師走が迫って参りました。今年もあと一ヶ月半、繁華街の商店には、早々とクリスマスや正月の飾り物さえ並びはじめました。
 12月の大晦日には、何と言っても一年を締めくくる人気番組、「紅白歌合戦」があり、歌謡ファンにはたまりませんね。



Aishyuunoshimahantou_000


 さて、歌謡曲には、新曲のポップスやニューミュージックから演歌、ナツメロ、恋歌、旅歌、ムード歌謡曲、フォークソング、シャンソン、ブルース、歌唱曲など色んなジャンルの歌がありますが、さらに、歌の世界を辿ると、ほかにも童謡や数え歌、子守歌、そして音頭や民謡、浪曲や小唄、長唄といった、昔ながらに受け継がれている、純日本的な伝承音楽とも言える歌がたくさんあります。

 我輩は「すずめ」ゆえ、「ひばり」のようには歌えないですが、日本作曲家協会の一会員でもあるので、歌謡曲には多少なりとも関心があるんですね。そこで、三重県のご当地ソングなどの中から、「恋歌」(恋唄)をピックアップした次第です。但し、洋楽のようなラブソングではありません。

 歌謡曲の「恋歌」(恋唄)の特徴としては、それらの歌詞(歌詩)をよく見ると、「女心」、「男心」の想い(恋情)を綴る詩の中に、あこがれや情愛、願望、哀愁、旅情、未練、悲しみ、辛み、回想(思い出)などを秘めたフレーズがあって、小道具に地名や物産、動植物、風物、自然の事象(風、波、水流、瀬音など)を使い、巧みに郷土色を絡ませています。
 数々のシングル盤EPなどの中から、とりわけ目に付いた歌詞(歌詩)を紹介する事に致します。



   

    志摩の恋唄
      作詩 松井由利夫 (作曲 袴田宗孝)
       歌 松山恵子   

  わたしゃ年ごろ 黒汐(くろしお)育ち
  志摩の入江で 真珠とる
  旅のお方(かた)に 想いをかけて
  いとしい便りを あ・・・
  きょうか明日(あす)かと 待ち侘びる

  浪(なみ)にほろほろ 磯濱(いそはま)つばき
  散ればあの人 思い出す
  夢もわびしい きょうだい千鳥
  涙が出る時ア あ・・・
  水にもぐって 泣くんだよ

  髪の黒さは 母(かあ)さんゆずり
  唄の上手は 父(ちち)ゆずり
  やませ吹く夜は 大王崎で
  しみじみ唄って あ・・・
  戀(こい)しいお方を 偲ぶのよ

    (台湾製コピー曲集の海賊版カセットより)



   

    志摩ごころ
       作詩 みずの 稔 (作曲 和田すなお)
        歌 森 はるみ

1.イカダをぬって 遠ざかる
  あなたを乗せた 白い船  
  いくら泣いても さけんでも
  ちぎれた恋は つなげない
   あゝはまゆうの 花が散るShimagokoro

2.似てると云われた その人に
  わがままいった 島の陰
  出来るものなら この町で
  旅は終わって ほしかった
   あゝ磯笛が 風に泣く

3.真珠の雨に ぬれながら
  涙で見送る 白い船
  忘れないでと 云えなくて
   あゝ灯台の 灯がうるむ

    (ユニオンレコード・シングル盤より)



   

    湯の町つばき
       作詩 滝田常晴(作曲 青木玲二)
        歌 楊敏(ヤンミン)・楊�摩(ヤンメイ)   

1.布引山の たそがれに
  瀬音やさしい 湯の瀬川
  君待つ心 いじらしく
  「待たせはしない」 「待ちますわ」
  つぼみいとしい 湯の町つばきYunomatitsubaki

2.枕の草子 書きつづる
  才女ゆかりの 榊原
  いでゆの里の 宿あかり
  「君ひとりだよ」 「あなただけ」
  夢もいとしい 湯の町つばき

3.貝石山の 貝がらに
  偲ぶむかしの 恋ごろも
  うなじに染めた 紅の色
  「離しはしない」 「いつまでも」
  咲いていとしい 湯の町つばき

    (ビクター音楽産業・シングル盤より)



   

    石水溪恋唄
       作詩 原田良次 (作曲 青木玲二)
        歌 松岡尚子
  
1.逢いにきました 石水溪(せきすいけい)の
  水の流れの 美しさ
  濡れて咲いてる どうだんつつじ
  あなたいとしと 河鹿の声が
  呼んでいるよな 仙が滝Sekisuikeikoiuta

2.遠いやまなみ 流れる雲に
  愛があふれる 旅の空
  あなたに逢えたら 離しはしない
  滝の白糸 もつれてとけて
  末はひとつの 夫婦滝(めおとだき)

3.山の石楠花 春待つ思い
  おんな心の こがれ花
  燃えて咲きます いついつまでも
  虹がこぼれる 石水溪の
  夢も七色 もみじ谷

    (東芝EMI・シングル盤レコードより)



   

    ふたりの伊勢
       作詩・作曲 河西 清
            唄 河西 清

1.あなたにそっと 寄りそいながら
  愛を誓った 五十鈴川
  きっとなろうな 幸せに
  ついてゆきます どこまでも
  あゝ 伊勢 伊勢 二人の町Hutarinoise

2.とばりがそっと 二人をつつむ
  桜通りは ネオン川
  少しくらいは 飲めるだろ
  好きなあなたの そばならば
  あゝ 伊勢 伊勢 夢降る町

3.くだける波が 引き離そうと
  かたいちぎりの 夫婦岩
  どんなくろうも 耐えてくれ
  好きなあなたと 二人なら
  あゝ 伊勢 伊勢 二人の町

    (東芝EMI・シングル盤レコードより)



   

    横輪の里恋歌
       作詞・作曲 沢野夏穂
            歌 中西里絵
   
  都会暮らしの 夢を捨て
  あなたを連れて 帰りたい
  私の育った 故郷(ふるさと)は
  伊勢の山里 隠れ里
  春には川辺に 花が咲く
  色あでやかな 横輪桜よYokowanosatokoiuta

  纏(まと)わりついた 泥垢(どろあか)を  
  お洞(ほら)の清水(みず)で 浄めたい
  私を待ってる 故郷は
  伊勢の山里 隠れ里
  夏の夜(よ)彩る 蛍火を
  あなたにもたれ 眺めてみたい 

  あなたと出会い 恋をして
  甘えて拗(す)ねて 待ちわびた 
  ふたりで訪ねる 故郷は
  伊勢の山里 隠れ里
  きらめくネオンは ないけれど
  色づく秋が 酔わせてくれる  

    (キングレコード・シングル盤CDより)



 以下は、歌謡曲として過去に出された「三重の恋歌」のリストです。但し、EPが中心で、CDやカセットテープとして発売された新しい楽曲や、インディーズ盤等は掌握しきれず、確認出来た楽曲のみ取り上げてあります。

 四日市の夜Yokkaitinoyoru
   作詞 阿蘇 健 (作曲 森 悦彦)
    歌 三滝 洋
   メイリュウレコード・シングル盤
 四日市の哀歌
   作詞 伊藤明慶 (作曲 山路進一)
    歌 藤堂輝佳
   エスプレムレコード・シングル盤
 四日市の女
   作詞 二田広満 (作曲 水上雅夫)
    歌 青山こうじ
   ビクター音楽産業・シングル盤
 湯の山しぐれYunoyamasigure
   作詞 矢津太郎 (作曲 青木玲二)
    歌 八汐亜矢子
   東芝EMI・シングル盤
 恋の湯の山   
   作詩 乗田まさみ (作曲 古賀政男)
    歌 神戸一郎・八代政子
   日本コロムビア・委託製作シングル盤
 燃えて湯の山
   作詩 舘 直也(作曲 井川裕多加)
    歌 若杉幸二
   キングレコード・シングル盤
 鈴鹿セレナーデ
   作詞 葵川康志・中村恭子(作曲青木玲二)
    唄 春本 薫
   ビクター音楽産業・シングル盤


 松阪の夜Matsusakanoyoru
   作詞 荒川利夫(作曲 大沢浄二)
    歌 三宅 敏(さとし)
   東芝EMI・シングル盤
 松阪ひとり
   作詞 荒川利夫(作曲 大沢浄二)
    歌 三宅 敏
   東芝EMI・シングル盤


 あゝ五十鈴川
   作詩 山本 茂 (作曲 利根一郎)
    歌 川崎千恵子Aaisuzugawa
   ビクター音楽産業・シングル盤
 五十鈴川哀唱
   作詩 星野哲郎 (作曲 安藤実親)
    歌 大川友子
   クラウンレコード・シングル盤
 伊勢路の旅
   作詩 久保田浩正(作曲 馬飼野のぼる)
    歌 志摩みよし
   ミノルフォンレコード・シングル盤


 伊勢志摩ブルース
   作詩・作曲 土岐とおるShimanoumi
    歌 国崎ゆり
   マーキュリーレコード・シングル盤
 志摩の海    
   作詩 房前智光(作曲 和田香苗)
    歌 村田英雄
   日本コロムビア・シングル盤
 志摩育ち
   作詩 高田治男(作曲 大沢浄二)
    歌 中村佳代子
   東芝音楽工業・シングル盤
 志摩みれんShimamiren
   作詩 滝田常晴 (作曲 青木玲二)
    歌 英 竜也
   東芝EMI・シングル盤
 奥志摩ごころ
   作詩 舘 直也(作曲 井川裕多加)
    歌 若杉幸二
   キングレコード・シングル盤 
 奥志摩の女
   作詩 新 じゅんや(作曲 芝 かほる)
    歌 小林 順
   テイチクレコード・シングル盤Okushimanohito


 尾鷲雨情
   作詞 葵川康志(作曲青木玲二)
    歌 青木玲二
   東芝EMI・シングル盤
 尾鷲ブルース
   作詩 山本孝行(作曲 栗須芳久)
    歌 山本たかし
   テイチクレコード・シングル盤


 名張ブルースNabariburusu
   作詩 三上博司(作曲 斉藤敬二)
    歌 田中小夜子
   日本コロムビア・シングル盤


 夜霧の国道23号線
   作詞・作曲 河西 清
        歌 (歌手名の記名無し)
   インディーズ版・シングルカセット
 伊勢志摩の夜
   作詞 北村英明(作曲 沢野夏穂)Iseshimanoyoru_03
    歌 沢井圭介
   徳間ジャパン制作のシングル盤CD
   &カセットテープ
 志摩半島Shimahantou
   作詞・作曲 沢野夏穂
        歌 冬月梨音
   キングレコード制作
   のシングル盤CD
 哀愁の志摩半島
   作詞 篠原芳文(作曲
    沢野夏穂)
    歌 Shoko
   キングレコード制作
   のシングル盤CD

 




  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三重県の鉱山巡り回想記

2012年11月16日 | 三重県
Akasaki_mine

Akasaki_mine01

 確か昭和30年代の半ば頃に、京都の益富壽之助先生主宰の「日本礦物趣味の会」が、伊勢地方の児童や学生達にも知られるようになり、ちょっとした鉱物趣味のブームが起こり、石集めが広まった。伊勢にも一般社会人に会員の方がみえ、地元の伊勢地方をはじめ、三重県下の鉱物の産地を調査し、自ら採集して来た数々の鉱物や鉱石を持ってみえ、快く見せて下さった。

 当時、我輩は中学生になったばかりで、小学校の時から続けていた石集めが昂じて、鉱物コレクターへと傾倒して行った。その頃の参考書と言えば、母親に買ってもらった小学館の「岩石と鉱物の図鑑」や、木下亀城先生の著書「鉱石図鑑」(保育社)がバイブルであり、とりわけ鉱石図鑑には全国各県の鉱山リストが付記されていて、手紙によって鉱石を取り寄せたりもした。中学生の目には、鉱山から送られてきた鉱石は珍しさを通り越えて、まさしく正真正銘の宝ものであった。  (後年、木下亀城先生には、大学で卒業論文の御指導を頂いた)


Toba_mine


 その後、高校時代までずっと鉱物を探求し三重県下を歩き回ったが、当時、伊勢では日本礦物趣味の会の唯一の会員であったO氏や、小学校時代の恩師で植物学者でもあるM先生らに連れられて、青山(東青山)や名張の赤目地方に行ったこともあった。
 その頃は、まだ三重県下にも銅やマンガン、珪長石など、稼行中の小規模鉱山が幾つかあり、よくそれらの鉱山を訪ねたものだ。しかし、残念なことに伊勢市の界隈には、二見町の松下にマンガン鉱山の跡があっただけで、稼行中の鉱山は鳥羽まで行かなければ見られなかった。

 我輩が、鳥羽の赤崎鉱山(当時は赤崎銅山と呼んでいた)を初めて訪ねたのは、中学1年生になってからで、昭和30年代の後半であった。これが鉱山巡りの最初であり、坑道は土砂で埋没していたが、崖面には銅鉱脈の露頭があり、金ぴかNabari_mineの黄銅鉱とともに、酸化帯の土砂の中には、きれいな孔雀石や珪孔雀石がごろごろしていた。

 伊勢市内では、採石場や土取場、山裾などの造成地を回って、同級生たちと黄鉄鉱を探しに行ったものだ。地元の鉱産地と言えば、針水晶の採れる宇治の水晶谷(正式名は施餓鬼谷で、実は針水晶は方解石)や、朝熊山山上の立ち腐れの万金丹屋前の武石、白石山にあった果樹園切通しの褐鉄鉱(ここは、現在は宇治山田高校のグランドになっている)、そして、赤崎鉱山(鳥羽)のズリ石が運ばれて盛られていた、二軒茶屋の勢田川の土手ぐらいであった。


 伊勢市の界隈には、花崗岩の山がなくて、図鑑に見るような結晶鉱物には恵まれなかったが、それでも伊勢志摩スカイラインや五十鈴トンネルの工事では、排石の中から見事な霰石や方解石の結晶が採れた。花崗岩はと言うと、当時は明野の大仏山や、松阪市まで行かないとお目にかかれなかった。

(ずっと後年の事であるが、ペグマタイトの結晶鉱物をターゲットにして、花崗岩地帯の恵那地方〔岐阜県〕や真壁〔茨木県〕、石川地方〔福島県〕等にまで足を延ばすことになる )

 三重県下では、鈴鹿山脈の砂山(大安町のTakehara_mine02宇賀渓)や水沢(四日市市水沢町の宮妻峡)、堀坂山の雲母谷(松阪市の珪長石鉱山跡)、美杉・竹原(美杉村の珪長石鉱山)、白山鉱山(白山町の珪長石鉱山)、上友生の珪石山(上野市の珪石鉱山跡)、そして大山田村の三谷と広瀬(珪長石採石場跡)等の、ペグマタイト鉱山(跡)や鉱産地に何度も通っていた。
Niu_mine

 その間に、憬れの美結晶や巨晶の発見、採集もあって、一通りのペグマタイト鉱物を集めての後に、三重県下最大かつ全国屈指の紀州鉱山や、丹生鉱山、名張鉱山、治田鉱山跡等の金属鉱山に出向くのだが、時は既に昭和40年代の終わりであった。
Kisyu_mine01

 その当時の写真が、何枚か残っているので、掲載してみたが、稼行中の鉱山巡りの最後は、2005年の冬に地学部会の野外巡見の際立ち寄った、国見山石灰鉱山(旧南島町神前)である。
 もう、三重県下には、石灰鉱山や粘土山しか稼行中の鉱山は無いのである。


Kunimiyama_mine01

Kunimiyama_mine02







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする