伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

春らしくなった3月25日、二見町の太江寺に詣で、江海岸を散策

2022年03月30日 | 伊勢

二見町の山寺 「太江寺」( 2022年3月25日に撮影 )

 今年の彼岸 ( 3月21日 )は、昼過ぎにお寺 ( 光明寺 )に行って彼岸供養の卒塔婆を授かり、当家の墓参りをした。 動物供養のお墓のある二見町の太江寺へも、彼岸には飼い猫達の供養に毎年出かけているので、翌日にでも出かけようと思っていた処、あいにく22日は肌寒い雨天となった。


二見町の山寺 「太江寺の山門」( 2022年3月25日に撮影 )


 今春は、伊勢市ではまだ桜の開花が満開では無く、例年に比べてやや遅れがちのようで、ひと雨ごとに暖かくなって来てはいるものの、ここ数日は寒暖の差が著しく、少し油断をすれば風邪をひいてしまいそうである。
 伊勢市での弥生の春は、まだ「春寒料峭」といった感じで、紅梅・白梅がきれいに咲きほこり、唱歌「早春賦」の歌詞さながらである。


「太江寺の境内」( 2022年3月25日に撮影 )


 天気が回復した3月25日になって、やっと外出する気になった。 太江寺へは昼前に着いた。 伊勢市の界隈では、普段は閑寂な真言宗の山寺 ( 伊勢西国一番札所 ) で、立石崎の「興玉神社」背後の音無山の南東斜面の中腹にある。
 興玉神社境内の「夫婦岩」 ( 立石 ) は、天下の名勝地であり、伊勢神宮と共に観光の名所として、平日でも連日観光客でにぎわっているが、 注連縄のかかる「夫婦岩」は、元は少し沖合の海中に水没した「興玉石」( 御神石 )を遥拝する為の「門石」である。


「太江寺の本堂」( 2022年3月25日に撮影 )


 太江寺には、石段上の小広い境内の入口に、一対の仁王像を備えた立派な山門があり、山門をくぐったすぐ右手の石段をさらに上ると、真正面に本堂がある。
 この著名な古刹に、昔はお詣りする人も絶えなかったようだが、近年は動物供養のお寺として広く知れわたっている。 境内のかなりのスペースに、愛犬家や愛猫家の築いた墓標や卒塔婆が、何列か並んでいる。 彼岸やお盆以外は、参詣人もごく僅かで、閑寂な霊場の雰囲気があり、本堂の隣りには「元興玉神社」が建立され、ひっそりと祀られている。
 境内に神仏がセットで祀られている事から、古来からの信仰の厚さが伺え、昔時の趣きを備えた散策者向きの小径の整備も、程良く成されていて、ここから細い山道を登れば、短時間で音無山の山上に至る。


太江寺境内の 「ペットのお墓」( 2022年3月25日に撮影 )


「ペットのお墓」 の一角( 2022年3月25日に撮影 )


 かつて、いっしょに生活をした愛猫や野鳥達の霊に、彼岸供養のお参りを済ませた後、海風は小寒いものの、堪えがたい程ではなかったので、帰りに少し江海岸に立ち寄った。
 江海岸と言えば、伊勢の町からすぐ来れる磯釣りの近場である。 かつては筆者も、遊びがてらカイズ ( チヌ ) やセイゴ、ウミタナゴ、アイナメ、シロギス、クロメ、コチ、カレイ、カワハギ、ベラなどの海水魚をよく釣ったものである。その頃の風景は、「伊勢シーパラダイス」の建物を除けば、昔時と殆ど変わっていない。

江海岸の突堤から眺めた 「神前岬」( 2022年3月25日に撮影 )


 立石崎を西に眺め、五十鈴川の分流「江川」( えのかわ )より東は、数百メートル程砂利浜が続いているが、やがて山裾が直接海岸線と化したリアス式の沈水地形に変わり、その先端の神前岬(こうざき)の海食洞門「潜り島」に至る。 直前には「アレサキヒメ」を祀る小さな祠があり、洞門の上には注連縄が渡されている。
 ここも、かつては「夫婦岩」とセットでの、二見町の性神崇拝のシンボル名所であり、古い絵葉書に垣間見る事が出来る。


古い絵葉書に見る、二見浦の名所 「潜り島」


 当地の荒磯や砂利浜を歩くと、時として広域変成岩の青石 ( 伊勢青石 ) の手頃な水石 ( 主に島形石 ) や、波食によって生じた「漂礫のキノコ石」を拾う事が出来る。
 このほかにも、現地性の石英礫のきれいなものは「白石玉小石」になるし、宮川や五十鈴川起源の「伊勢赤石」や「赤玉石」の小礫も、渚の漂礫の中に混じっている。

二見町江海岸産・伊勢青石の 「島形石」( 横幅約19cm )
二見町江海岸産の 「漂礫のキノコ石」( 長さ概ね6cm ~ 9cm ) 
 当地の緑色片岩等に伴う珍しい鉱物としては、これまでにスチルプノメレンや、銀色微粒状の赤鉄鉱 ( 雲母鉄鉱 )、藍閃石、葡萄石 等があるが、かつて国道167号線の「新二見トンネル」の掘削時に、これらは黄鉄鉱や磁鉄鉱と共にかなりの産出をみている。





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