伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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伊勢・志摩・度会の石紀行 その2「猿田彦石」~ 伊勢市二見町江(え)

2015年03月27日 | 伊勢・志摩・度会の石紀行


二見町江の「猿田彦石」

 春の彼岸が過ぎ、開花した桜花が見頃となって、ほのぼのとした花見のシーズンとなった。二見町の太江寺に動物霊の供養に、彼岸の塔婆をあげに行ったついでに、町内の名物岩を眺めてきた。昨年から綴り始めた石紀行の続きとして、太江寺の真下にある「猿田彦石」を取り上げてみよう。  
 伊勢市二見町は、立石にある興玉神社境内の海岸に「夫婦岩」(めおといわ)があり、天下の名勝として知られているが、町内には他にも、数々の名物岩や謂れ石(いわれいし)が点在する。 その一つが、江の町内にある「猿田彦石」である。  鳥羽方面に向かって、新二見トンネルを抜け二見プラザを過ぎた先の、国道167号線の信号を右側に曲がって、江の在所に入る細い町道(朝熊路・あさまみち)を200mばかり行くと、右手に「江コミュニティセンター」があり、この前に露岩と思われる大きな石が鎮座している。 すぐ東の江川(えのかわ)に架かる「日乃出橋」を渡って国道に抜ける、町道の分岐するT字路交差点の曲がり角に当たる。ここは太江寺への登り口のそばで、巨岩の前には表示板が立っている。 この猿田彦石は、その形状を興玉神社の御本尊でもある「猿田彦大神」に見立てて、古来崇拝されて来たが、今は謂れ石にすぎない。  江川の対岸にかつてあったと言う、「猿田媛石」(さるたひめいし)と対を成すものであったらしいが、この猿田媛石は今は見られない。 猿田彦石の大きさは、幅(長径)約7m、周囲約20m、高さ約3m程の緑色岩(岩質は角閃岩と思われる)で、概ねお椀を伏せたようなのっぺりした恰好をしており、表面は丸くなって少しツルツルしている。かつては、子供らが「滑り台」代わりに遊んだのか、郷村内の良き遊び場となっていたのだろう。
 当地、二見町には、かつては立石の沖合い約700mの海中に、「興玉石」(興玉神石・おきたまかみいし)と言う、神社の御神体を成す霊石(岩礁のひとつ)があって、引き潮時には海面にその姿を見せていたと言うが、今は激しい海食等によって水没している。 夫婦岩は、現在では夫婦円満の象徴と供に、日の出の遥拝岩として著名になったが、元々は「興玉石」を拝む為の門石(もんせき)であったものだ。  町内の陸域には、他にも幾つか名前の付いた巨岩や巌があるが、「烏帽子岩」や「退石」(しざりいし・すさりいし・さがりいし)、「天狗石」(伊勢三郎の力石~ちからいし・義盛の力石)、「御座岩」などは、河川の改修や埋め立て、臨海地の整備等で、今は姿を消している。 二見町溝口にある、五十鈴川東岸の「破石」  それでも、溝口の五十鈴川(汐合の本流)の東岸には「破石」(われいし)があり、又、三津の裏山には「硯岩」(伊勢三郎の硯岩)があるから、ちょっとした散策のついでに足を延ばし、ひと目見ておくのも一興だろう。

二見町三津の裏山にある「硯岩」
町道の道端に立っている「硯岩の表示板」の説明

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