伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

空梅雨のまま、山野の装いは新緑から濃緑(こみどり)へ …。

2013年06月13日 | 随筆・雑感・回想など
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 水無月に入って中旬となった。一昨日から昨日にかけては、早々と発生し、東海地方に近づいていた夏台風の影響で、伊勢の町は曇天の中、小糠雨が降ったりやんだりであったが、今朝はまるで梅雨明けを思わせるような夏の青空となり、時間が経つにつれ、屋外は汗ばむほどの暑い夏日の好天となった。
 東海沖で勢力を弱め「熱低」と化した台風3号が、南の海上に停滞していた梅雨前線に突っ込む形で、北寄りだった予想進路を東に変え、居座ってしまった感じである。このまま2~3日停滞し、気圧配置が大きく変わらなければ、梅雨前線は一時的に消滅してしまうかも知れない。 今年は、空梅雨模様の水無月である。まさに字のごとく水が無ければ、農業などは夏野菜が成長過程で乾燥し過ぎてしまう心配があり、大変な事だ。
Kumo
 外に出て、海を見に二見ヶ浦の西端、今一色海岸へと車で向かう。五十鈴川右岸の流域から東方の鳥羽、志摩方面の空は曇天で、一面に層積雲や高層雲に覆われている。防波堤に降りて空を見上げると、西方は雲量10%ほどで、よく晴れたカンカン照りである。殆どが積雲~雄大積雲で、断続的に列状を成し南北に連なっている。 おそらく、度会や松阪から一志、鈴鹿地方まで、三重県の北・中勢は夏の青空であろう。この日の風は、なぜか東寄りの海風である。丁度、志摩半島が、北から南の海上にある「熱低」に流れ込んでいる曇天域との境界のようだ。Tenkizu_2
 今一色海岸の五十鈴川河口の渚へと降りてみる。中潮なのに潮がよく引いている。沖合いからは、土用波のような白波が次々に押し寄せている。やはり台風の影響なのか、魚介類もかなり波打ち際の砂浜に打ち上がっている。特に一見ハマグリに似た「バカ貝」の殻が多い。他にバンジョ(ツメタ貝)やアカニシ、マテガイなどの貝殻も目につく。クラゲが一定の距離を置いて打ち上がっている。その中にコウイカが一匹・・・。手にとってみると、悪臭も無く、それほど痛んでいない。食べられそうである。 海水で洗い、スミを抜き、舟形をした貝殻(甲)を取り出す。家に持ち帰り、皮をそぎ落として水洗いをする。そのままイカ刺しとか、イカソウメンとはいかないまでも、煮炊きをすれば晩のおかずになりそうなので、冷蔵庫に放り込む事にした。 今日のような空梅雨に、台風崩れの「熱低」の影響の空模様・・・。気象歳時記などでは、こんな日を何と言うのだろうか。さっそく、気象歳時記の名著中の名著である、「空の名前」(高橋健司 著、平成4年初版・平成6年改定・第12刷、光琳社出版株式会社発行)をひもどいてみる。 「水の章」をめくり、空梅雨のページへと本を繰る。
Soranonamae
Karatuyu
◆ 梅雨の中休み(つゆのなかやすみ)・・・ 梅雨の最中に、一時的に晴天が続くことをいいます。このような時、梅雨前線は南海上に下がっているか、活動が弱くなっています。しかし、雨は中休み以降が本番。集中豪雨は梅雨の後半に多く発生しています。 ◆ 梅雨(からつゆ)・・・ 梅雨の時期なのにほとんど雨が降らず、夏を思わせる暑い晴天が続くことがあります。これが空梅雨です。梅雨期間中の降水量は西日本で300~500ミリ、東日本で300ミリ前後、北日本で150~250ミリにもなります から、空梅雨になると夏の水不足が心配されます。 以上のように記されていて、今夏は正に空梅雨模様である。 こんな日は「涼」を求めて、どこか渓流の冷水に浸りたいものである。町なかでは、垣根越しに見る紫陽花だけが「水無月」らしく季節感を漂わせているが、山野は新緑から濃緑(こみどり)へと、季節の装いを変えながら梅雨明けへと向かっている。 

  


コメント
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