伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

厳寒の真冬に水石を磨いて、暖かい志摩へと向かう

2016年02月06日 | 随筆・雑感・回想など

かつての志摩の果て ~ 安乗岬の灯台

 今年の1月は、2~3日の周期で寒・暖と両極端の日が繰り返した事もあって、正月に横輪川を歩いたきりどこへも行かなかった。週末などは外宮・内宮前が参詣の車でかなり混雑していたし、下から見た伊勢-二見-鳥羽ライン(高速道路)もかなり渋滞ぎみであった。
 伊勢市内・外の幹線道路も、伊勢志摩サミットに合わせてか、各所で舗装の刷新工事が急ピッチで成されている。
 大相撲の初場所が終わり、瞬く間に2月となって、節分、立春が過ぎた。

研磨した紫雲石 ~ 南伊勢町産、高さ約10cm


 天気の良い日中などは、春を思わせる陽射しがホカホカと降り注ぐが、風はまだ冷たくて朝夕など寒さが身に堪える。それでも日没がかなり遅くなり、日増しに日が長くなった。初春が微かに忍び寄ってきた感じがしないでも無い。
 先月の下旬は、鑑賞用の水石にと少し荒石を磨いてみた。昨年末に揚石した一之瀬川の梅林石と、南伊勢町の採石場で拾ってきた紫雲石である。1月にふさわしい水石が「紫雲石」ならば、2月は何と言っても「梅花石」や「梅林石」であろう。残念ながら当地方では「梅花石」は採れない。紫雲石となる輝緑凝灰岩や、梅林石を形成する杏仁状輝緑凝灰岩などは、幾らでもあるのだが…。

研磨した梅林石 ~ 一之瀬川産、高さ約10cm


 石を磨いていると、揚石のたやすい冬枯れの渓流や川原に出向きたくなってしまう。しかし、若い頃と違って寒さには閉口なのだ。
 昨今は凧揚げやコマ回し、押しくら饅頭などをして、屋外で遊ぶ子供達を殆ど見かけなくなった。あちこちにあった遊び場のスペースが無くなった事もあるが、パソコンでゲーム遊びが出来たり、スマホで友達と簡単に通信が出来たりするからだろう。
 それに交通量も増え、思わぬ事故の心配があるから、自宅と学校・学習塾などの行き来の他は、部屋に閉じこもっていた方が何の不自由も無く、楽しくて無難なのであろう。
 厳寒の真冬の寒風の中も平気だったちびっ子、昭和30年頃の「風の子」達は、もうどこにもいない。


安乗岬から眺めた遠州灘の海景


 1月最後の31日の日曜日は、石を磨くのにはもったいない程の、穏やかな冬日和の上天気であった。昼前になって志摩へ行ってみようと思い立ち、50分ほど車を走らせて国府の白浜に出た。そして北端の安乗岬へと向かった。
 やはり志摩地方は、伊勢市に比べるとかなり暖かい。そして海が真っ青である。冬場の海岸には誰もいないが、一年で一番海の色が濃く映えると言う。
 中学校の跡地の小広い芝生の丘の北端に、安乗岬の四角い真っ白な灯台がまぶしく輝いている。打ち寄せる磯波も、潮がよく引いているので静かである。ここから眺める遠州灘の海原は絶景である。


日和浜西端の岩場から眺めた岩井崎


 次にどこに行こうかと考えた末、対位的な先志摩半島西端の御座へと向かう事にした。この日は、いつも立ち寄る国府白浜や城ノ崎、名田の大野浜などはパスをし、パイパス道路をまっしぐらに御座まで走った。車がすきすきなのと道路がよいので、30分程で着いた。
 御座の白浜に出たが誰もいない。冬場は完全なシーズン・オフである。車で入れる先端の外海岸に出た。熊野灘を目前に、ここから左手には日和浜が弧を描いて岩井崎へと続く。岩場から眺めると日和浜の全景は見えないが、対岸に岩井崎が出っ張り、小さな灯台が微かに見渡せる。ここでも潮がよく引いていて、磯波は弱くて静かであった。


御座の外海岸岩場の釣り人


 荒磯におりて、御座岬を成す黒森山の裾にあたる外洋側の海岸を少し歩いた。残念ながら、水石になるような良い石は無い。手ぶらのまま戻りかけたら、岩場の先端に独りだけ釣り人が糸を垂れていた。風がないので絶好の釣り日和とも言えるが、引き潮時ゆえに何が釣れるのか、竿を上げるのをしばし見ていても、一向にかかった様子はない。
 冬の今頃だとメバルや小っぱグレ(クロメジナの稚魚)、アイナメ、ガシなどであろうか。以前はよく釣りにも来たが、野外での趣味と言えば、今は探石一色である。


御座岬直下の外海岸の荒磯と熊野灘


 20分ほど歩いてから、内湾(英虞湾)に面する御座白浜に少し寄ったが、対岸に浜島の町が見えるだけで、生き物と言えば、カラスとウミネコらしい海鳥しかいなかった。数枚の写真を撮った後、鵜方に出て昼めしを食べて帰る事にした。


御座白浜から眺めた御座岬の黒森山

冬の真昼の誰もいない御座白浜
 

コメント
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