伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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  感性の趣くままに-。

河川の氾濫で、濁流の引いた「 五十鈴川の川原 」を見回る

2023年06月27日 | 伊勢志摩~奥伊勢のフィールド・ワーク

御側橋から眺めた氾濫後の 「五十鈴川の川原」 ~ 2023年6月25日撮影

 今月の上旬に、伊勢市を襲った線状降水帯による断続的な集中豪雨で、五十鈴川や横輪川が氾濫し、伊勢市内も低地は水浸しとなった。 幸いにも自宅裏の勢田川は、昨年に嵩上げをした護岸のコンクリート壁まで、目いっぱい増水し急流と化したものの、溢れる事はなく、過去のような洪水による水害には至らなかった。

 しかし、五十鈴川は、豪雨や台風の度に何度も氾濫を繰り返し、普段とは一変した「暴れ川」となってしまうので、水流の引いた濁流後の河床は堆積物が浚われ、雑草に覆われた夏場の川原は、背高に生え繁る植生が一掃され、転石礫も刷新された広々としたサラ地と化す。
 川の両岸には夥しい流木の山が出来、土砂やごろた石が土手の芝草をなぎ倒して、所々に盛土や地盤が剥き出しになっている。


氾濫の痕跡の残る五十鈴川左岸土手下の草むら ~ 2023年6月25日撮影


 氾濫後の川原は、古木や石の趣味者にとっては、又と無い絶好の探索を兼ねた遊び場なのである。 今月は、その後も晴天と雨天が繰り返していたので、ずっと気にはなりながらも、6月18日の日曜日の晴天までは見回りを控えていた。
 今月の18日は、朝から眩しい程の夏陽のふり注ぐ、真夏さながらの快晴であった。
 五十鈴川の「御側橋」へと、午前9時に家を出た。 車を走らせ約15分で目的地に着く。 既に護岸の流木は殆ど片付けられ、五十鈴公園に隣接の河川敷の市営駐車場も、普段通りにきれいに整備されていた。


氾濫で雑草が一掃された、御側橋すぐ川下の五十鈴川の川原 ~ 2023年6月25日撮影


 先月まで雑草に覆われていた御側橋すぐ川下の川原は、真新しい転石の広々としたサラ地さながらであり、左岸土手下のコンクリート舗装の小道からの川原への段差も、川原を覆った新たな堆積礫で半分程度に低まり、このチャンスにとゴム草履のまま楽々と川原に飛び降りた。
 隣接の県営陸上スタジアムから、競技をしているのか喧噪なスピーカーの大声や、観客群衆の声援が聴こえてくるものの、川原には誰ひとり見当たらなかった。

6月18日採集の緑色岩の 「神足石」 ~ 長さ約10.5㎝


6月18日採集の砂岩の 「神足石」  ~ 長さ約6.5㎝


 とにかく川下方向の川原の先端まで行き、折り返しジグザグに探石を開始すると、間もなく幸先よく労をせずに、ひと握りの典型的な「神足石」を見つけた。 その後は砂岩のこぶし大程の「神足石」を得たものの、川原の半分程歩いた所でへたばってしまった。 シャツも汗だくでどうしようもなく、このままでは熱中症になってしまいそうだったので、残り半分程の川原は翌日にでもと思いながら車に戻った。
 それでもとっくに1時間は経過し、車の時計は11時少し前になっていた。 気が付けば、ポケットにはこぶし大の「含マンガン赤鉄鉱」の転石が一つ入っていた。
 この日の収穫は、この3石だけである。
6月18日採集の 「含マンガン赤鉄鉱」 の転石 ~ 横幅約7.5㎝
6月18日採集の 「含マンガン赤鉄鉱」 の転石 ~ 上載写真の裏面です


 残りの川原は、翌日にと思っていた処、又天気が崩れ曇天と雨天が続いたので、翌週25日の日曜日まで出向けなかった。 この日は薄雲が広がるものの鈍い陽射しもあり、景色はくっきりしない日であったが、先週程の暑さはなく、午前中ずっと川原を探索することが出来た。

6月25日 採集の 「神足石」 の類似礫2個です
6月25日 採集のミニサイズの 「神足石」 ~ 右の3個は緑色岩

 しかし、前回 ( 18日 ) のような見事な「神足石」には出会えず、類似礫2個と、ミニ標本用の小形の「神足石」を数個採集しただけであるが、帰りに立ち寄った御側橋真下のブルドーザーで整地された右岸の川原を歩き、すぐ前の堰堤まで流木を見に行った処、冠雪を載せたような座り抜群の「遠山石」を見つけた。
 この石は緑色岩 ( 角閃岩 ) の風化岩であり、残存曹長石脈の一部が程よく「冠雪」を呈しており、少し手入れをすればちょっとした名石になるかも知れないと思い、持ち帰った次第である。
 今回揚石をした水石は、唯一この石だけである。


6月25日揚石の 「冠雪を載せた遠山石」 ~ 左右幅約13㎝

 
コメント
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