アバウトなつぶやき

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伊藤小坡とその時代 展

2009年11月22日 | かんしょう
 会期が明日までと迫った、桑名市博物館で開催中の「伊藤小坡とその時代」展。
 金曜日にナゴヤドームの帰りによるつもりが、あの日は張り切りすぎてしまって行けなかったので、今日あわてて足を運びました。

 伊藤小坡は明治10年に三重の伊勢、猿田彦神社の宮司の娘として生まれた、上村松園と同時期の女性画家です。
 家庭に入り、妻や母として生活しながら画家としても大成しました。

 ワタクシ、美人画は上村松園が最も好きな画家なのですが、やはり同じ時代だけあって伊藤小坡も絵の技法は似てるんですね。
 江戸時代までの美人画と言うと、とても美しく色っぽい女性が描かれていても、肌のふっくら感が伝わるものが少ないと感じます。なんというか、ハリやツヤがあってもやわらかさがもうひとつ足らないと言うか…。
 だから、上村松園の描く美人を見たとき、スッキリした美しい顔立ちとふっくらした肌に心を奪われたのを覚えています。
 その流れで小坡の名はなんとなく聞いた事があったのですが、特に作品を思い出せなかったんです。
 でも、shioちゃんの持ってた図録を見たら、伊藤小坡の描く女性は生活感があるのに美しいふっくら肌の女性なんですもん。これは本物を観なきゃ!って思ってしまいました。

 さて、実物を拝見して思ったことは「なんて素敵な女性像だろう」でした。
 上村松園の上品で現代的な美人とは違い、小坡の描く女性は面持ちが優しく、ふっくらした表情が観るものを優しい気持ちにさせます。
 きっと家庭をもつ女性としての視点がそうさせるのでしょうね。
 そして先日、earthさんもご覧になって同じ感想を述べてらっしゃいましたが、着物がすんごく美しい!
 その頃の風俗もよく分かる絵が多くて、親近感のある絵が多いと感じます。
 特に「制作の前(下絵)」という作品では、小坡自身が絵を描く前の調べ物をしてる姿を描いたものだと思いますが、着物の柄なんかの載ってる本を山積みにして眺めている姿が誰しもに通じる姿で、楽しく観る事が出来ました。

 この展覧会は明日で終わりなのでオススメするには遅すぎたかと思いますが、伊勢の猿田彦神社の横には小坡美術館なるものがあります。
 機会があれば、ぜひそちらをご覧になることをお勧めいたします。