各映画会社には看板シリーズってものがある。
パラマウントにはスター・トレックとトランスフォーマー、20世紀FOXにはエイリアンやデッドプール、SONYには007(の権利は失ったようだけれど)、スパイダーマンがある。特徴的なのはディズニーで、MARVELものを中心にここはシリーズだらけだ。スター・ウォーズの権利を買ったのも、あのシリーズでもっともっと稼げるとふんだからだろう。ワーナーもハリー・ポッターから派生したファンタスティックビーストでやる気満々。そしてここは、DCコミックスを中心にワンダーウーマンやバットマンでもいくぞ、と。
ここでユニバーサルの経営陣は考えた。
ようやくうちでもジュラシックワールドで稼げるようになったけれども、自社の財産をリサイクルしてもうひと儲けしようと。そう、この会社はその昔、怪奇映画が名物だったの。
ということで「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」「アマゾンの半魚人」「透明人間」などを“ダーク・ユニバース”というくくりで連続映画化しようと製作開始。その第一弾がミイラものの「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」だったというわけ。
主演はトム・クルーズ、共演にラッセル・クロウ(ジキル博士ですっ)、邪悪な王女役にキングスマンの剣足女(観た人はおわかりですね)ソフィア・ブテラ。ヒロインにはトム・クルーズの意向か(トムの女の趣味はいつもいい)クール・ビューティのアナベル・ウォーリス。監督はグランド・イリュージョンのアレックス・カーツマン。鉄壁の布陣……のはずだった。
しかし公開したらブーイングの嵐。興行も不調だったのでダーク・ユニバースには文字どおり暗雲がたちこめている。
さて、なにがいけなかったのだろう。主役のニックは、いいかげんなタイプだけど愛のためにあることを成し遂げる、というトム・クルーズにぴったりの役。おかげで作品にダークさが足りないという結果になったかもしれない。
しかし、見ている間だけは退屈しないという、往時の怪奇映画そのものの出来となったともいえないか。ああ、MARVELの諸作を見ればわかるように、現代の観客はもうそんなレベルでは満足してくれないのだろうか。めんどくさい世の中になったなー。
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