事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「わが家の歴史」(フジテレビ)第三夜

2010-04-12 | テレビ番組

Eikuranana09 第二夜はこちら

三谷幸喜がいろんなメディアで(例によって)かましているように、このドラマは「やっぱり猫が好き」の変奏曲ではないし、「三丁目の夕日」の否定ではない……ことにするのはやっぱり無理でしょう。

あの人はサービス精神のかたまりだからさまざまな発言をメディアに合わせて行うが、ここだけは嘘だと思う。少なくとも、「ALWAYS」へのむき出しの対抗心がひしひしと感じとれる。おれはもっとうまくやれるぞ、という紳士的な宣言が陰にあるのではないか。そうでもなければ運動会に収斂させるあのラストはなかなか。

映画で意識したのは「悲情城市」と「ゴッドファーザー」か。西田敏行の死は、なにもそこまでアル・パチーノの最後を引用しなくても(笑)

それ以上に三谷幸喜が下敷きにしたのは、ミニシリーズという形をとった「ROOTS」だろう。クンタ・キンテのあれね。脆弱だったNETが、テレビ朝日と名を変える時点でかました“ぶち抜きオンエア”こそ、「わが家の歴史」でもっともやりたかったことなのだと思う。勝ち組であるフジテレビでこんな冒険を成功させた以上、三谷に怖いものはなくなったろう。

井上ひさしの死が伝えられたこんな日に、これだけのドラマを見ることができてしあわせ。おそらくは「しょせん紙芝居ではないか」とする批判は多く出るだろう。でも、それがどうしたのだ。面白い紙芝居をつくるために、どれだけの才能が必要だったか。三谷幸喜に心残りがあるとすれば、それは井上ひさしにこの作品を見てもらえなかったことだろうか。

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