数々の寓話を石持浅海らしい
「頭でっかちな」
「人を人とも思わない」
「コンセプトのためならキャラなんかどうなってもいい」
姿勢で語った短編集(笑)。やっぱり面白いよー。磯風さんという登場人物がどの作品にも出てきて、これが座間味くんにも増して人間味がなくていい。
たとえば「ガラスの靴」というシンデレラのパターンは、鍋パーティをひらいた翌朝、アパートに残っていた女物のサンダルひとつ。独身男性は三人の候補からその持ち主を推理しなければならない……
まず設定が無理矢理、展開も無茶、そしてこんなことを考える女の子と結婚してだいじょうぶなのかお前は、とかいうツッコミは石持の場合は無意味なわけね。またしても石持版「机上の推理」を堪能するしかない。やっぱり、面白かった。
ハートウォーミングなストーリーを書くにしても(書きたかったわけだ。へー)、どこか理屈っぽくなるこの作者を、わたしはやっぱり好き。版元がPHPってあたりも意表をつきました。
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