事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その120 地獄の犬たち&煉獄の獅子たち 深町秋生著 角川書店

2021-01-19 | 日本の警察

その119「新宿鮫11 暗約領域」はこちら

深町秋生という作家は、山形県の期待の星です。

南陽市出身で山辺町在住。ミステリ評論家の池上冬樹(この人も山形在住)が世話人になっている講座を受講。そのうえあの専修大学出身とくれば応援しないわけにはいかない(笑)。

ドラマ化された八神瑛子シリーズ(彼女を演じたのは米倉涼子)や、中島哲也が監督し役所広司が主演の「渇き」の原作「果てしなき渇き」が有名だけれど、わたしはどっちも読んでなくて(どこが応援しているんだろう)、戦後まもなくの米軍占領下を舞台にした「猫に知られるなかれ」や、山形が舞台の女性探偵の日常が渋い「探偵は女手ひとつ」だけ。しかし両方ともとても面白かった。

さて、紹介する「地獄の犬たち」「煉獄の獅子たち」は、深町のメインストリームだというバイオレンスもの。耳を握って背負い投げをかけたので耳が引きちぎれるとか、えぐい描写がたっぷり。

この2作はつながっていて、煉獄は地獄の前日譚になっている。一種の潜入捜査官もの。組対部の刑事がやくざとして殺人まで行うという設定は強引だけれども、その組織のトップが実は……という展開が待っているのでむしろ自然に思える。

意外なほど色っぽい場面はなくて、やくざってストイックなのかと思えるほど(まさかね)。

しかし登場する女性たちが魅力的なのだ。プロの殺人者として、秘部にGPS発信機をしこんでいるとか、整体師のおばさんが、クールに復讐を成し遂げるとか。

もっとも魅力的なのが、“敵”であるはずの組織のトップ十朱。シリーズ化して……無理か、無理だよな、あのラストじゃ(+_+)

女性にはおよそすすめられる作品ではありませんが、深町秋生という名前はおぼえておいてくださいね。ベストセラー作家になってもらい、住民税を彼にたくさん払ってもらおう。

その121「雪に撃つ」につづく


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