事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「パンク侍、斬られて候」(2018 東映)

2020-02-06 | 邦画

石井岳龍(がくりゅう)、というよりわたしの世代にとっては旧名の石井聰亙(そうご)の方が圧倒的になじみ深い。

彼のデビューは自主映画の「高校大パニック」。学生時代に撮った8mmが評判を呼び、なんと日活でリメイク(さすがに信用できなかったか沢田幸弘と共同監督)。浅野温子が主演して、確かおっぱいも出してました(違ったかなあ)。

以降、「狂い咲きサンダーロード」「爆裂都市」(主演が陣内孝則。そしてのちに町田康となる町田町蔵も出演しています)「逆噴射家族」(脚本はなんと小林よしのり)と傑作を連打。

この監督の特徴はとにかくスピード感。くわえてスケール感もはんぱないのでした。そんな石井が、町田康の原作、宮藤官九郎の脚本で東映の作品を撮る。これで期待しないほうがどうかしている。

妙に上から目線のナレーション(誰の声かはお楽しみに)とともに、派閥争いを繰り広げる藩内を右往左往する浪人……町田康がベースにしたのはおそらく黒澤明の「用心棒」。ということは原案となったダシール・ハメットのハードボイルド。

浪人が綾野剛、バトル中の家老ふたりに豊川悦司國村隼。あいだに立って正論だけ吐くバカ殿に東出昌大。時節柄、ぴったりです。

しかもこれに渋川清彦村上淳染谷将太という近ごろの日本映画を豊かにしてくれているくせ者が加わり、浅野忠信がとんでもないルックスで登場します!そしてヒロインは北川景子(この人、いい感じになってますよね)。

「いだてん」ごときの時制のコントロールでねを上げるようでは、この作品の構造はおよそ理解できないはず。クドカンは水を得た魚のように自在な脚本を書いています(こっちの脚本のほうが先に書き上げただろうけど)。

黒澤明的な匂いをふりまきながら、あろうことか某SF映画のエッセンスまで加え、爆笑のうちに幕。おみごとでした。

主題歌はセックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」お金かかったろうなあ。気合い入ってる。


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