事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「猿の惑星 聖戦記」War for the Planet of the Apes (2017 FOX)

2017-10-21 | 洋画

Rise(創世記)Dawn(新世紀)とつづいたリブート版「猿の惑星」完結編はWar(聖戦記)ときた。邦題が聖書っぽいのは、このシリーズの終わり方をFOX日本支社が予測していたからかしら。

肉親の死、復讐、隷従、そして解放という流れ。猿たちが新天地を求めて旅立つのはエクソダスそのものだし(だからリーダーであるシーザーは、モーゼと同じように……)、紅海は割れないけれども奇跡が起きて、な展開。

ストーリーだけ追えばとてつもなく暗い前半。これまでと同じように人種差別が投影され、猿は徹底的に虐待される。

しかし、映画的興奮がたいそう仕込まれているので退屈しないですむ。騎馬での追跡行(しかも一騎はニケツです)は、近ごろめずらしいまっとうな西部劇だし、スキンヘッドを手のひらでなでまわす“大佐”(ウディ・ハレルソン)はどこをとっても「地獄の黙示録」(それを匂わす落書きまであります)のマーロン・ブランド。

末恐ろしいほどの美少女が登場して、ノヴァと猿によって名づけられる。シーザー、コーネリアスと並んで、オリジナル版へのリスペクトありあり。

大脱走ばりのトンネルからの脱出劇があり、最後の“奇跡”のなかで猿だけが生き残るのは、猿のある特性の結果。考えてあるなあ。

シーザーがモーゼであり、キリストとなるラストでは、画調まで史劇っぽい。

映画をひたすら知っている監督と、やはり今回もすばらしかったアンディ・サーキスの演技。確実に再リブートされるはずなので、その際にはまた彼らを起用してほしい。

「壁をつくるなんて、どうかしている」

というセリフが(右翼的であることで有名な)20世紀FOXの映画で実現するあたり、気合いが違っている。見たかトランプ。

ただね、吹替版でまたFOXはやってくれました。コメディリリーフとはいえ、あの人をバッドエイプ役に使ったのには気が遠くなった。「プロメテウス」で剛力彩芽を起用して大失敗した反省は今回も活かされていない。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ファインディング・ドリー... | トップ | 投票に行こう~The Buggles -... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
考える葦 (もののはじめのiina)
2017-11-15 09:16:16
> シーザーがモーゼであり、キリストとなるラストでは、画調まで史劇っぽい。
第一作から、ずいぶんと枝葉の「猿の惑星」系映画を派生させました。「さるの湧く星」ですからね。
さすが人類は「考える葦」です。

そんな人類が猿に支配されてしまいますから、大いなる風刺が効いています。

前シリーズのラストは、リンカーン像を真似たシーザー像でしたが、あの結末が小説オリジナルでした。
「猿の惑星」を飛び立ち地球に帰り着いたら、そこも「猿の惑星」だったというストーリーでした。

返信する
さるの湧く星(笑) (hori)
2017-11-15 19:18:05
にしても今シリーズは陰鬱なイメージが
強かったですよね。
で、おそらくは猿も人間と同じように
堕落していくであろうことが予想されます。
能天気なむかしがなつかしい。
返信する

コメントを投稿

洋画」カテゴリの最新記事