事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「メインテーマは殺人」アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

2020-01-14 | ミステリ

去年「カササギ殺人事件」で各ミステリランキングを席巻したアンソニー・ホロヴィッツ。今度もこの作品でトップ総取り。2年連続なのだから、これはもうフロックじゃないどころかホロヴィッツ時代の到来なのかしら。

彼はこれまでに紹介してきたように、コナン・ドイル財団が正式に認めたシャーロック・ホームズシリーズの新作「絹の家」を書いたし、つづいてその名も「モリアーティ」も書き上げた(まもなく特集します)。

だけでなく、イアン・フレミングの遺族から依頼されて、007シリーズの新作「逆襲のトリガー」まで著している。よほど、作家として信頼されているのだろう。

「メインテーマは殺人」の最大の特徴は、作中になんとホロヴィッツ自身が登場し、語り手になっていることだ。おかげで、犯人当てパズラーとしてだけでなく、人気作家の日常がどんなものかがうかがえて興味深い。

ジョン・ル・カレや「卵をめぐる祖父の戦争」のデイヴィッド・ベニオフ(かの「ゲーム・オブ・スローンズ」のクリエイター。去年は「ジェミニマン」も書いてます)、そして「拳銃使いの娘」のジョーダン・ハーパー(「ゴッサム」「メンタリスト」の作者)など、向こうの作家はテレビドラマ、映画と直接にかかわることがとても多いことがわかる。

ホロヴィッツも、「名探偵ポワロ」の脚本を書いていて、これは事実らしいんだけど「タンタンの冒険」の続編の依頼も受けている。そのために、スティーブン・スピルバーグとピーター・ジャクソンと打ち合わせしているところに、傲岸不遜な主人公ホーソーンがやってきて場をぶち壊しにするという爆笑の展開まで。これはホロヴィッツを語り手にする設定でなければ。

読み進めて、はたしてこれがベストワン?と思わないでもなかったけれど、ラストのたたみかけの凄みにびっくり。シリーズ化して10作ほど書く予定だとか。うわあ最終作まで生きてられるかなあ


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