町方と遊女の心中。役人にとって大きな不祥事のはずだが、信次郎が目をつけたのは、その血の量だった。多すぎる……。
「弥勒の月」「木練柿」「夜叉桜」「東雲の途」につづく、通称「弥勒シリーズ」最新作。役人である信次郎がSで、暗殺者として育てられた遠野屋がMという構図はあいかわらず。
わたしは信次郎の人でなしなところが大好きなので、その部分が大きくフューチャーされたこの作品は堪能できた。
自分の惚れた相手を餌に、犯人を燻りだそうという非道ぶり。身辺警護にわざわざ暗殺者の遠野屋をつけ、彼の心まで弄る。いいですなあ(笑)
世に信次郎ファンは多かろうと思う。特に女性。わかっているでしょうけどこういう男は女性を幸せにはしませんよ。それでもやはり魅かれるあたりは……難儀ですねえ。
冬天の昴 価格:¥ 1,728(税込) 発売日:2014-03-19 |