第二十七話「高松城水攻め」はこちら。
前回の視聴率は、予想ほどにはいかなかったけれども16.7%と上昇。先週は「花子とアン」の25.9%と「もののけ姫」の21.9%には驚かされた。定番の強み。
大河ドラマにおける鉄板の定番といえば本能寺。吉良邸討ち入りや池田屋襲撃と並んで課題図書みたいなものかな。だから制作陣も気合いが入るし、NHKとしてもここで大河人気を浮揚させる意味もあってか番宣ガンガン。
その課題図書にはいくつかクリアすべき点が用意してある。
・明智光秀が「敵は本能寺にあり」と部下に告げる
・謀反人が光秀であると知った信長が「是非に及ばず」と語る
・森蘭丸が主君のために壮絶な斬り死にをする
・信長の最期
それはもう演出者の手腕が問われる。で、思い切りダイエットした小朝はなかなかの味。自分がやったこととはいえ、信長への恐怖が消えないあたりはいい。
信長と蘭丸のからみは、お濃の方との別れが優先されていたのでどうも尻すぼみ。いや別にお濃の方が本能寺で死んだはずないじゃんとか主張するつもりはないんです。なぜだか正式な記録が少ない本能寺の変なのだから、好きにしていいはずですが……なんか薄味だし、テンポもよくなかったのは残念。
ただ、この回のためにいろんな伏線があったのは理解できました。黒田官兵衛という人間を評価するかどうかは、信長の死を知った彼の動きをどう評価するかですよね。予想以上に錯乱する秀吉に、官兵衛が告げる策は……きゃーダークサイドに堕ちちゃったか官兵衛。
でもよく考えると、秀吉とは人間的なつながりがあっても、信長が官兵衛にしてきたことってなんだ?裏切り者だと即断し、息子を殺すように命じたのは誰だっけ?……という具合に視聴者をリードしています。なるほど。
にしても、江口洋介と内田有紀はこれで退場か。いやいや、片岡鶴太郎がまたしてもいい芝居を見せてくれたので、ひょっとしたら復活もありかな。
「高橋幸治の信長はよかったのに……」
年上の奥さんはそういうとこ厳しいです。わたし、見てないのでなんとも(T_T)
だいたいね、信長てぇのは人生五十年と規定してしまったあたりがしんどい。もっと長いスパンで考えていたら……言うまい言うまい。
今回の視聴率は、そりゃ18%を超えてくれないとNHKも困るでしょう。わたしは、次週からようやく官兵衛のお話になると期待しています。
第二十九話「天下の秘策」につづく。