事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「サトリ(上・下)」 ドン・ウィンズロウ著 早川書房刊

2012-07-17 | ミステリ

Satoriimg02 近ごろ何を書いても読者をねじふせる、怒濤の勢いのドン・ウィンズロウ。まさか覆面作家トレヴェニアンの「シブミ」の前日譚まで書いているとは。

でもトレヴェニアンって知らない人多いよね。この人はわたしの世代にとってはクリント・イーストウッドの「アイガー・サンクション」の原作者、というより宝島の「このミステリーがすごい!」一発目のベストワン「夢果つる街」の作者なんです。思えば地味な一冊からこのミスは始まったんだなあ。

で、三十年も前にベストセラーになった「シブミ」とはどんなミステリだったかというと……えーとね、やたらに洞窟をめぐっていたことしかおぼえていません八つ墓村かよ。
やたらに日本人的な禅問答が多かったかも。

その、日本人以上に日本人的な暗殺者ニコライ・ヘルの若き頃。罠を仕掛ける方も周到だけれど、ニコライも若いのでピンチの連続。でも、囲碁の名人らしいモノローグが始まると「うん、こりゃだいじょうぶ」と安心できます。その展開で失敗はないだろうと……おおおおそうきたかあ。

キャラの一人ひとりが魅力的。特に娼婦的生き方を(あらゆる意味で)強いられたソランジュという女性がすばらしい。

ニール・ケアリーが主人公のストリート・キッズのシリーズも魅力的だったけれど、ニコライ・ヘルも負けずにいいぞ。天国でトレヴェニアンも合格点を出しているはず。もういっちょ、お願いします。

サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ) サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-04-21
サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ) サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
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