ストックホルム郊外に母親と2人で暮らす12歳の少年オスカーは苦痛に満ちた毎日を送っていた。学校で陰湿な苛めにあっているのに誰も気づかない。それほど孤独だった。ある日、隣に謎めいた少女エリが越してくる。「君の友だちにはなれない」といきなり告げるエリだったが、毎晩のように中庭で顔を合わせ、寝室の壁越しにモールス信号を送り合うようになる。その頃、町では猟奇的な殺人事件が起きていた。
このスウェーデン作品のリメイクがクロエ・グレース・モレッツの「モールス」であることも知りませんでした。そちらも(せっかく鶴岡まちキネが上映してくれたのに)見逃してしまったので、作品のキモを知らないままで鑑賞。
あら。
そうだったんですか。こういう映画だったのかあ……と絶句。あのジャンルの約束事はきちんと守られているし、そのルール破りをすると、エリの……いかんいかん、どうしてもネタバレになってしまう。
主人公の少年が(北欧らしく)透きとおるような白い肌と銀髪。謎の少女エリが黒髪という対照は、この作品にちょっとしたトラップ(ある高名な作品と同様の)が仕掛けられていることと、きっと無関係ではないんだと思う。
ただし、日本では“その部分”を露骨に描写できないので、トラップが有効だったかは微妙なところ。どのような形で『継承』が行われたかを観客に納得させるためにはどうしても必要な場面だったはずだが。このあたり「モールス」は、そしてクロエ・グレース・モレッツはどう処理したのだろう。
しかしそこを抜きにしても魅力的な映画であることは確かなのでぜひレンタルを。観た人となら、ネタバレ全開で語ることができるので楽しみです。