同じ商売の人ならおわかりのように、市町村立小中学校事務職員の3月は忙しい。とてつもなく忙しい。だから本来は映画なんか観てちゃいけないのである。
しかししかし、残業中にジョン・ウィリアムズのファンファーレが頭の中で鳴り響き、たまらずクルマを飛ばして最終回にセーフ。
「3Dメガネはお持ちですか?」
イオンシネマは持ちこむか100円で買うシステムだから。
「ええ、持ってます」そういうところだけは周到。
「あのぉ、こういうものもあるんですが」
でええええ。ゴーグルタイプの3Dメガネかよ。
「アナキンがレースで使っていたタイプの……」
出た。SWお得意のマーチャンダイジング作戦。そんな商売にオレが引っかかるはずが……
「くださいっ!」
400円也。
おなじみのオープニング。
A long time ago in a galaxy far, far away 遠い昔、はるか彼方の銀河系で……
で始まる字幕が奥に吸い込まれていくパターンがすでに3D。大画面大音量で“体験”するためにあるような映画だから、ブラッシュアップされた新版が公開されるたびにわたしは劇場に通うだろう。これから6年間、毎年3Dでこのシリーズを楽しむことができるのである。こりゃ、しばらく死ねない。
にしてもエピソード1はちょっとバランスを欠いた映画で、前半がやはり退屈。「ベン・ハー」を徹底的に意識した(周回表示とか)ポッドレースあたりから観客も興奮し始める。
「あたし、SW見れないんですよ。あの子が結局はダース・ベイダーになるんでしょう?なんか悲しくて」
と同僚。わからないでもない。このシリーズは父殺しがメインテーマだし、息子に倒されることによって救われるダース・ベイダーの物語でもあるわけだから。
「きみの将来が楽しみだ」と“ある人物”が語る場面で、のちの展開を知っているだけにわたしなどはかえってゾクゾクしたけどね。
アナキン・スカイウォーカーがまだアニーと呼ばれていた、この最初の挿話から見始める観客もいるわけだ。ちょっとうらやましいかも。
それにしても、ここまで手間をかけるんだったら、エピソード7~9をつくった方が手っ取り早くなかったですかルーカス。