事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

出版広告

2010-05-01 | ニュース

Ginntama02_3   朝日新聞の出版広告がちかごろかましまくっている。

12月の「ONE PIECE」(集英社)の全9面広告にもたまげたけれど、まけじと講談社は「バガボンド」がらみで最後の漫画展の告知を。そして幻冬舎は草刈民代のフルヌード写真集を全面で。笑ったのはおなじみ「銀魂」が、全面じゃなくて8ヶ所の広告をニッチにしのびこませたやつ。

「バガボンド」は、タイトルも告知内容もなんもなしでQRコードだけ。「銀魂」は、「ののちゃん」の真裏で四コマ調。やるもんだ。

思えば2004年のスラムダンク1億冊突破記念のときは、主要六紙にそれぞれ別のキャラを載せる民主主義的(笑)手法を集英社はとっていた。

配置はこんな具合。

読売 → 桜木花道

朝日 → 流川楓

毎日 → 三井寿

日経 → 赤城剛憲

産経 → 宮城リョータ

東京 → 木暮公延

なんか、キャラがちゃんとフィットしているのがおかしい。

さて、それでは近ごろ話題の出版広告が朝日に集中しているのはなぜだろう。朝日新聞の購読者に突出してコミックスや写真集の需要が大きいわけではないだろうから、ちょっと不思議。

でも学生の時に新聞学を履修していたのでその事情は想像できる。批判や反論を承知で言うと、いまだに日本におけるクオリティペーパーは朝日ということになっている。発行部数世界一の読売はクォンティティペーパーってことで。

そして、そのクオリティペーパーである朝日新聞の2、3面下部の書籍広告の枠をとるのは大変なのだそうだ。他と読み比べればわかるが、朝日だけ、その多くは老舗の大出版社に独占されている。だからこそ幻冬舎を立ち上げた見城徹はあの枠にこだわったわけ。

だから出版社としては、どれかひとつ新聞社を選んで勝負をかけようと思えば朝日新聞になりがち。出版社関係の人間は、だからこそ朝日の購読率も高いので(天敵である文春こそもっとも読者が多いはず)業界へのインパクトも強いしね。

朝日新聞としてもありがたいはずだ。一説には4000万円ともいわれる(このご時世だからかなりダンピングしていることと思う)広告料を、“話題になる”出版広告で得ることができるのだから。ネット広告にシェアをうばわれ、朝日ニュースターなどの自社広告の多さに「大変だなあ」と思っていたので、需要と供給はここに一致したわけだ。さて、それでは「銀魂」34巻を買いにいきましょうか。

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「ひとりでは生きられないのも芸のうち」 内田樹著 文藝春秋

2010-05-01 | 本と雑誌

9784163696904 この書で、内田が開陳する皮肉な慨嘆をピックアップしてみた。

「公的なもの」は盤石であるから、いくら批判しても構わないし、むしろ無慈悲な批判にさらされることで「公的なもの」はますます強固で効率的なものに改善されるであろうという楽観。」

「仕事の絶対量は変わらない(というか成果主義を導入すると評価コストがそれに上積みされるから仕事の絶対量は増える)のに人件費を削減するとなると

(1)同じ資金でこれまで以上の仕事をやってもらうか

(2)同じ仕事をもっと安い労賃でやってくれる人間を雇うか

二つしか方法がない。

もちろん前者は単なる労働強化であるから、そのようなものを「成果」と呼ぶことはできない。」

……内田樹の主張は、少し前なら保守派の論法だと指摘されたかもしれない。『自分らしさ』とやらへの懐疑とか。しかし結果として出てくるのが反保守派的な主張になっている。まことに、心強い。

彼の論旨は「身もふたもない」に尽きる。誰もが気づいていない、それでも当然なことを、当然のように列挙できる才能。そのあたりで、まだ旧左翼教条主義の匂いが残る上野千鶴子と論戦になったりするのだろう。

月刊誌「SIGHT」における、高橋源一郎との小沢一郎をめぐる対談など、そう来たか、とうなった。まだ書店にはあるはず。ご一読をお薦めします。

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