事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「赤朽葉家の伝説」 桜庭一樹著 東京創元社刊

2008-12-19 | ミステリ

5byottyann4783a59cec357  あ、ミステリだったのか。そっち方面の老舗である東京創元社から出ていることでわかりそうなものだが、戦後史をわしづかみにする力業の方に気をとられてすっかり失念。

さて次は直木賞受賞作「私の男」を読もうかという気には、しかしなかなかなれない。お腹いっぱいだもの。

千里眼の祖母、中国地方をしめた喧嘩上等の母と比較して、主人公が徹底して普通で、そのことにコンプレックスを抱いているあたりは周到な仕掛け。戦後史を思いきりぶちこんであるが、平成初期すら『歴史』になってしまったのかと呆然。

世相の引用は東野圭吾よりもはるかに達者☆☆☆★★★

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「愛のお荷物」(1955 日活)

2008-12-19 | 邦画

Photo001419 「洲崎パラダイス 赤信号」特集はこちら

山村聰、三橋達也、轟夕紀子、東恵美子、芦田伸介、殿山泰次、フランキー堺、監督の川島雄三、助監督の今村昌平、音楽の黛敏郎……みんな逝ってしまった。妻が生まれた年の映画なんだからしかたないか。生き残っているのは小沢昭一、北原三枝、そして菅井きん(当時から年とった役やってます)ぐらい。

昭和三十年当時、人口抑制に腐心する政治家一家に、あふれるほどの“お荷物”がやってくるというお話。少子化に苦慮する現代を、この頃は想像もできなかったろう。しかし題名に反して、この映画にはほとんど赤ん坊の描写がないことに気づかされる。川島が(身体の障害もあって)“生活”に背を向けていたことも影響したろうか。イブニングドレスで踊る轟夕紀子がなんともゴージャス。

彼女がこの作品の7年後に亡くなってしまったなんて信じられない☆☆☆★★

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「ヘルボーイ」Hellboy(2004 米)

2008-12-19 | 洋画

Hellboy_and_gun 監督、脚本:ギレルモ・デル・トロ 出演:ロン・パールマン

おっとびっくり。これほど面白いとは。「パンズ・ラビリンス」につづいてギレルモ・デル・トロのセンス爆発。たとえハリウッドであろうが、自分のやりたいことをやりぬく根性がこの映画オタクにはあるのだろう。冥界からはじき飛ばされた鬼っ子(角があり、ちょんまげ結ってます)が、人間界でどう生き抜くか。失恋してグジグジするあたりがかわいい。

メジャーな役者は老科学者を演じたジョン・ハートだけ。あ、ロン・パールマンは「薔薇の名前」の猿男でしたか。ひたすらギレルモ調を拝見するしかない140分。能天気なアメコミの映画化でありながら、血の色と機械油の匂いがむせかえるようだ。こりゃ、続篇と「ホビットの冒険」も期待できそうだっ!

来月「永遠のこどもたち」が山形で公開。三川でやるわけないか☆☆☆☆

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