あ、ミステリだったのか。そっち方面の老舗である東京創元社から出ていることでわかりそうなものだが、戦後史をわしづかみにする力業の方に気をとられてすっかり失念。
さて次は直木賞受賞作「私の男」を読もうかという気には、しかしなかなかなれない。お腹いっぱいだもの。
千里眼の祖母、中国地方をしめた喧嘩上等の母と比較して、主人公が徹底して普通で、そのことにコンプレックスを抱いているあたりは周到な仕掛け。戦後史を思いきりぶちこんであるが、平成初期すら『歴史』になってしまったのかと呆然。
世相の引用は東野圭吾よりもはるかに達者☆☆☆★★★