ロンドンのエリート警官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)。優秀すぎるという理由で、田舎の村へと強制左遷。そこでも張り切るエンジェルだが、アクション映画好きで、どんくさいバターマン(ニック・フロスト)と相棒を組まされる。ある日、村で怪死事件が発生するも、殺人だと主張するエンジェルは相手にされず……。
一応、こんなストーリーになっているんだけどほとんど意味はないです。枠としてポリス・アクションの姿を借りているけれど、ぶち込んであるのは“映画という約束事を守るギリギリの線上で遊んでいる感覚”だ。カットはあきれるほど多く、セリフは辛辣、殺人シーンは残虐、ご婦人も思いっきり蹴り上げる……つまりひたすら【過剰】なのである。「オーメン」や「ゴジラ」までパクリながら、しかし作品として破綻していないのは、イギリス人らしい寸止め感覚がそれでも機能しているからだろう。
こんな映画が評論家受けしてしまうのもイギリスらしいところで、だからおよそ英語圏以外ではヒットが望めないにもかかわらず(映画ファンたちの署名運動もあって)日本公開にこぎつけたのはめでたいっちゃめでたい。まさか特別出演しているケイト・ブランシェットやピーター・ジャクソンが影響したってことはないだろし。
イギリス人嫌いを広言する(つまり大好きな)わたし向きの映画。途中で本格推理ものかと誤解させてくれるし……マジで「薔薇の名前」みたいになるんですよ。最後には「バッドボーイズ」なんだけど(^o^)。
そして音楽がまたわたしの世代にぴったりなのだ。T-Rex「easy action」やXTC、アダム&アンツ……しかしこんなバカ映画よく山形で公開したよな、DVDがもう発売されているにもかかわらず。しかも初日だからとはいえ、年配者も含めて数十名の観客がつめかけているのだ(両側をギャハギャハ笑うじいさんにはさまれてしんどかったー)。えらいぞ山形市民。えらいぞ山形フォーラム。そして疲れているのに観に行ってえらいぞオレ。