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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

初めて情宣をお読みになる方へ

2008-04-06 | 情宣「さかた」裏版

M0338527401 支部長職も一年経過し(ということは情宣も出し続け)2年目のマニフェスト。発行日は2003年4月8日「情宣さかた」裏版です。

「机の上の、この黄色い紙はいったい何だぁ?」

 この業界が長い人にとっては、疑問にすら思わなくなっているかもしれませんが、こいつは【組合】の【情宣】です。

 組合、とは市町村立小中学校の県費負担教職員が主に加盟している労働組合、山形県教職員組合のこと。略して県教組(けんきょうそ)。
 県教組は地方公務員法にもとづいて、山形県人事委員会に登録された職員団体で、組合員の声をもとに、賃金や労働条件の改善要求を、雇用者である山形県教育委員会に対等な立場で伝えることができる機関です。

 もちろん組合のやることはそれだけではなくて、組合員に、より研修を深める場を提供したり、他の労働組合とも連携し、さまざまな手段を使ってよりよい社会の実現をめざしたりしています。したがって、今回のイラク攻撃には明確に反対しているわけ。
 で、情宣とはこの県教組の活動や、そのめざすものを“説明”するものであって……

「……要するにテイのいいアジビラですね?」

M0338527501 そういう側面もあります(笑)。でも、読み続けていただければ、たとえば勤務条件の改善がどのような形で実現していくのか、あるいは改悪を阻むためにどのような行動がとられているか、公的な文書からはうかがい知れない情報が満載なのがわかってもらえるでしょう。

 ひとつの事象に対して、『それでは労働組合はこの問題についてどう考えているか』という“もうひとつの見方”を獲得していただければ、社会人として、職業人として、そして家庭人としての生活に、決してマイナスにはならないと思います。
 で、問題なのはこの情宣の裏側に載っている通称「裏版」。かなりマニアックだし、ひょっとしたら青少年の健全育成に有害な(笑)情報がまぎれこんでいることもあります。コンセプトは“何でもあり”。評価の分かれる「組合員へのこの1冊」や「こんなものいらない」シリーズも連載中。

通算100号をめざし、あなたが山形県教職員組合の一員に加わってくれることを願いつつ、今年度もシコシコがんばりますので乞うご期待。ご用とお急ぎのないときに、たっぷり読んでみてください。

※画像は「真夜中の五分前」side-A、side-B 本多孝好 新潮社
 あの「Missing」の、といまだに言われてしまう本多の最新作。感情の流れをミステリやホラーの手法を使ってていねいにトレースする、あの先達と同じ方法論をとっている。でもさー、今回の双子のお話って、その先達がもうあの大傑作でやっちゃってるんだから、なにもあんたがやらなくてもいいんじゃないか?

Murakamiharuki_fusigitosyokanthumb プラス「ふしぎな図書館」村上春樹 佐々木マキ 講談社
その先達の初期の作品「図書館奇譚」が今なぜか。おー、羊男!

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Nくんへ

2008-04-06 | 情宣「さかた」裏版

Haru004  苦楽をともにしたNくんが書記局から学校へ復帰する際のはなむけのことばです。これは同時に教員という職種へのメッセージでもあったわけ。

……書記長という仕事は見た目以上にハードだ。一種の“”である学校にいれば知らずにすんだことを、受け入れ、対処し、そして咀嚼しなければならないのだから。

 多くの書記長経験者たちが、なぜかウサギを飼い始めるのを昔から不思議な気持ちで見ていたが、小動物に癒しを求めたくもなるということだったろうか。

 N書記長もその例外ではなくて、加えてチャボまで飼い始めた。S(謹厳)ヨシアキとホリ(いい加減)ヒロシという、人間的には両極端な(笑)支部長とともにはたらいたことがその遠因かも。いやはや申しわけない。

 これからあなたは“現場”に帰るわけだけれど、この書記長の経験……否応なしに広くならざるをえなかった視野と、なにしろいきなり拡大した交遊……が、教員としての生活に、大きく資するものであったと確信しています。2年間本当にごくろうさまでした。

 一段落したら、会うたびに焼酎を一本空けて語り合ったあの居酒屋でまた飲もう。われわれにとっては、まちがいなく“現場”だったあの店で。  

情宣さかた裏版2003年3月28日号。      

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A-(B-C)

2008-04-06 | 情宣「さかた」裏版

Thetimemachine おなじみ、情宣さかたの裏版を。
発行日は2003年3月28日。
事務職員が支部長をやっているのだから、ちょっとはハードに給与系をまとめてみた。景気の悪い話ばっかりになっちゃったけど。

……2002年度は残念ながら“初めて給料が下がった年”として記憶されることになるだろう。近年でも、寒冷地手当や期末手当の引き下げはあったものの、基本給にまで手をつけられたのは例がない。おまけに“不利益不遡及”の原則もどこへやら、2002年の4月から12月までの下がった分を、この3月の期末手当で減額調整(逆差額、とでもいうか)する結果となってしまった。
 今回の期末手当が、3月支給としては最後になることはご存知のはずだけれど、この減額はなかなかに微妙なニュアンスを含んでいる。
 なにしろ山形県の説明文書には、減額のげの字も出てこないのだ。

 公式には“平成15年2月例月給与時における継続在職期間(平成14年4月1日~12月31日)の給与支給状況に基づき、特例措置分を給与システムで算定し、3月期末手当で調整する”……お得意の有無をいわせぬお役所言葉だけれど、つまりあくまで『今回限り特例措置として調整する』だけだと言っているわけ。
 
 もっとも、実際の口頭説明では「えーと減額のやり方はですね」とか平気で語られているので脱力してしまうのだが。

 しかし今年度がこのことだけで語られてしまうのはちょっと困る。労働組合がそんなに“人がいい”存在のわけがない。第一、多くの都道府県で取り入れられた独自の賃金引き下げを行わせなかったことは評価してほしいし、それ以外にも…… 

①地場賃金準拠、勤勉手当成績率導入、昇給停止年齢引き下げ(55歳昇給停止)阻止。
②育児時間の改善
③リフレッシュ休暇の改善(前にもお伝えしたが、47歳と53歳をポイントにリフレッシュ年休の制度を導入……リフレッシュ特休の導入時に“かすった”年齢への配慮の意味もあるらしい)
④……

……などを獲得している。
え?④が空白じゃないかって?
この内容は定期総会の場で説明させていただきます。ウチの組合の“人の悪さ”がよくわかってもらえるでしょう。

※この期末手当の支給額は、標題のA-(B-C)で算定される。
A=期末手当基準額
B=4~12月に支給された給与総額
C=減額改定された給料額をもとに算定した給与総額
正確にはもっと複雑なんだけど、乱暴にまとめてみました。
交渉において総務部長は「3月期期末手当での『調整』は、実質的に4月遡及と同様の効果をもたらし、結果として不利益不遡及の原則を守ったとは言いがたい状況は認識する」と回答している。

2008年現在で読み返してみて、やっぱりいちばん読んだのは事務職員なんだろうなおそらく(笑)。あ、それとクミアイの役員たち。

Timemachine02画像は、このころのわたしのベストワン「タイムマシン」
恥ずかし。でも、原作のモーロックをあんな風に映像化してくれるなんて。ラストもすごくしゃれてるし。タイムトラベルものが異様に好きなわたしの渇望を確実に埋めてくれた一本。ぜひ。

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ジュニア。

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Shonennjump 2003年3月24日付「情宣さかた」裏版。
持論である「コピーはオリジナルよりも奇怪な姿をとる」を展開。

 少年マンガ誌としては後発だった少年ジャンプは、創刊当時部数が伸び悩んでいた。そこで編集部がとった作戦は、“本物よりも本物らしい”コピーを作り出し、本物の読者を、言い方は悪いがかすめ取ることだった。この場合の本物とは最盛期の少年マガジンに連載されていたヒット作「巨人の星」や「あしたのジョー」などをさしていたのだろう。

ジャンプのキャッチフレーズは“友情・努力・勝利”だが、根性を前面に押し出し、努力の過程を省略して勝負の連続で読者の関心を引き寄せる……冷徹な読者アンケート至上主義と連動したこの作戦は成功し、「包丁人味平」や「アストロ球団」そして「キン肉マン」のようなヒット作を生み出した。そしてマンガ誌のなかで史上最高の発行部数653万部(毎日新聞よりも多い!)を記録するまでになったのである。コピーがオリジナルを凌駕するためには、グロテスクなまでのデフォルメが必要だったのだ。 

 二世や三世と呼ばれる人たちは本当につらいんだと思う。偉大なる一世を超えるためには、生半可な努力や結果ではまわりが満足してくれないのだ。
特に政治の世界では、地盤と呼ばれる後援会組織の都合や利権がらみで、“なりたくもなかった”政治家に据えられることも多い。まわりが一世の話を持ち出して比較する意図がなかったとしても、本人の気持ちのなかではかなりのストレスが渦巻いていることだろう。そんなとき、プライドだけは間違いなく肥大している二世はどんな行動をとればいいか。

Bush ……もちろん、すべてジョージ・ブッシュのことを言っている。彼の場合は、大統領選自体におおいなる疑念が残っており、“大統領らしさ”を強力に自己演出する必要があるのだろう。ましてやとりまくスタッフは、チェイニーにしてもパウエルにしても、ほとんどがシニアのスタッフだったのだ。

いつのまにか、意外なぐらいにアメリカへの、あるいはブッシュ大統領への逆風は強まっており、イラク攻撃にしても、利権(石油・軍需産業)のための戦争、という認識は多くの人たちが共有するようになってきた。

 でもへそまがりである私は、9.11さえ無かったら、果たしてブッシュはどんな大統領だったのかをむしろ考えている。いちばん簡単なのは、9.11以前に彼がなにをしていたかを検証することだ。ここからは、組合員へのこの1冊のスペースで。

                  組合員へのこの1冊
「アホでマヌケなアメリカ白人」Stupid White Men マイケル・ムーア著 柏書房刊

 すごい書名にひかないでいただきたいが、内容はまさしくこのとおり、ブッシュに代表されるアメリカのエグゼクティブに対する悪罵の連続。

Michael_moore  著者のムーアは、今もっともチケットが取りにくい(とにかく毎回満員札止め)映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」の監督。野放図に銃があふれているアメリカ社会を糾弾するドキュメンタリーだ。ライフル協会の代表であるチャールトン・ヘストンへのインタビューはかなりのものらしい。
 この書において、ブッシュ・ジュニアが就任以来どんなことをやったかが列挙されている。

・連邦の図書館費を3900万ドル削減
・医師の小児科教育費用を3500万ドル削減
・地球温暖化に関する1997年の京都議定書の合意から撤退
・モンタナ州のルイス・アンド・クラーク国有林で石油採掘を許可する計画を表明
・減税。その恩恵の43%は、アメリカ人で最も裕福な1%に集中
・児童虐待に関するプログラムから1570万ドルを削減
・精油所、原発、水力発電所の建設許可の簡素化を提案。この中には環境基準の緩和も含まれる
・アラスカ自然保護区の油田、ガス田の売却を提案
・再生可能エネルギー研究費を50%削減
・国定記念物を開拓し、植林、石炭・石油・ガスの採掘などを行うことを提案する権限を内務長官ゲイル・ノートンに与える
・公立病院等で、健康保険のない人々に治療の援助をする「コミュニティ・アクセス・プログラム」を86%削減
・連邦法、環境保護法、労働安全基準に違反した企業に対して、政府が契約を拒否する権限を強化する法律の廃止

……すばらしい大統領じゃないか(笑)。ある意味、こんなにわかりやすい大統領は初めてではないのか。そして、このわかりやすい大統領の政策に、どこまで日本はついていこうというのか……    

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少年探偵団

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Meisouchizu  組合関係のどんな会合に参加しても、今年(2003年)はとにかく選挙の年なんだから、という前ふりで始まる。

 この4月には県議、酒田市長、酒田市議の選挙があるし、状況としては微妙だけれど、どこかの時点でおそらくは総選挙もあるだろうと噂されている。市町村合併イラク情勢もからみ、確かに選挙の年、政治の年だ。

 これらの選挙に、県教組酒田地区支部がどのような対応をとるかはまもなく公表できる予定だけれど、選挙という存在にはいろいろと考えさせられることがある。

 4年前、ほとんど関係のない話だと思っていた酒田市長選に高校の同期生が出馬することになった。この選挙はご存じのようにとてつもない泥沼になったのだけれど、運動には数多くの同期の連中が文字通り走り回っていた。このとき、いわゆる“選挙のプロ”と呼ばれる層から、この世代が“少年探偵団”あるいは“パシリ”扱いをうけていることは薄々感づいていた。

Meisouchizu2  そして4年後、山形4区からはなんと33才の青年が国会へ行くことになり(ご協力ありがとうございました)、県議選において現在の流れでは30才の女性候補を支持することになりそうだ。ものすごい変化。
若い層がこうしてどんどん政治に意欲をもって参加し「ったく昭和30年代生まれは頭が固くて(笑)」とか言われるように早くなりたいな。いやまったくの本音で。

……2003年3月13日付「情宣さかた」裏版。年令はすべて当時のもの。あれから5年たち、状況がまさかこれほど混沌とするとは。
ちなみに、支部長をやっていた当時、ほとんどの選挙は勝利した。そんな風が吹いていたのである。

画像は、わたしの同級生が(端役だけど)出演した松本清張原作「迷走地図」('83)。彼は岩下志麻の付き人をやっていたのである。政治家夫人の一通のラブレターが政界を揺るがし……そのラブレターをひったくる役だったかな。

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「都立水商(おみずしょう)!」室積光著 小学館文庫

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Toritsumizusho 酒のいきおいで、文科省の役人が暴走する。
「世の中には水商売ってものがあるんだから、そういう道に進む子のことも考えにゃならんだろ?」
「そりゃそうかもしれん」
「だから『水商業高校』があってもおかしくないだろ?」
「……よせよ」
「なんで?なんでだよ?てめえ水商売だけ差別するのかよ!」

かくして予算は通り、新宿歌舞伎町に『東京都立水商業高等学校』が開校する。専攻科目は「ホステス科」「マネージャー科」「バーテン科」「ソープ科」「ヘルス科」「ゲイバー科」など。

 始業前には担任が教室の前で待ち受けていて、厳しい服装チェックが入る。
「何だこの髪は?染めてこんかア!」
授業も実践的。
「それでは今日は『送り』について説明するぞ。『送り』とは、終電後、ホステスやスタッフを車で送ること、およびそのための人材の……」

……面白そうでしょ。でも全編にとびかう説教の嵐の方が印象深い。この作品が処女作である元役者の室積が、高野連的なものに代表される今の教育への批判を優先させたからだ。「あの武田鉄矢氏も推薦!!」(笑)という帯が、良くも悪しくもこの作品をあらわしている。

 ちなみにわたしがいちばん笑ったフレーズはこれ。
「いつまで野球を教育の一環とか言ってんですかね。だいたいスポーツで、スポーツ以外のことまでついでに教育しようなんて、教育する側が横着だっていうんですよ」

 なぜ笑ったかというと、後半はこの高校の甲子園出場をめぐっての大騒ぎなのだが、甲子園球児という存在が汗と涙の青春だけではないことをわたしは十分に知ってしまっているので。

 二十数年前、大火復興のシンボルとして春の選抜に出場した同級生たちは、教室ではこんな低レベルなことで悩んだりしていたのだ。
「○○にはファンレター何百通も来てて、△△にまで来てるのに、なんでオレには一通もこないんだよーっ!」
わかんねーのか鏡をみろ鏡をっ!

……2003年3月13日付「情宣さかた」裏版。さりげなく、近づく市長選への伏線をしのびこませたのだった。

コメント (2)
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F4。

2008-02-12 | 情宣「さかた」裏版

Chicago01 フッ素シリーズ最終回。第三弾はこちら
発行日は2003年3月6日でした。

現場にいる教職員なら、子どもがマニュアルどおりに動かない存在であることを日々痛感している。予想もつかない行動をとる彼らが、希釈されたとはいえそれ自体は劇薬であるフッ素ナトリウムを、ぶくぶくうがいをしているときに“飲み込まない”はずがないし、“飲み込ませない”ための指導がどれだけ大変かをよくわかっている。

 ところが、旧厚生省がぶちあげ、県や各市町村がそれにならった『健康21』計画という一種のマニュアルには、フッ素洗口を推進する、という一項がもうけられていることが多い。

 たとえば『健康さかた21計画』(酒田市)には、歯の健康の欄で、学童期の健康づくりのために

③フッ素の効果と安全性を啓発します。また、小学校、中学校、家庭でのフッ素洗口を推進します。


と明確に提示してしまっている。これはいったいどうしたことだろう。

 昨年の教育事務所との専門部交渉でフッ素洗口の話になり、回答は「学校、設置者、保護者の合意のもとに……」ということだった。こちらは逆に「ということはこの三者の合意がなければ推進することはない、ということですね?」と問うと「そのとおりです」との返答だった。だが市町村は……

 おそらくこの姿勢を読み解くキーワードは、『費用対効果』だろう。健康日本21がめざす【80歳で20歯以上の自分の歯を有する人の割合を、2010年に20%以上にする】という数値目標を達成するために、いちばん費用が安く、行政の姿勢を明確に打ち出したと印象づけられるのはおそらく上水道へのフッ素添加だ。

しかし反対が多いために折衷案として小中学校へのフッ素洗口を持ち出すのだとしたら、それはお門違いというものだろう。低年齢、低体重児へのフッ素の使用をWHOも警告している状況下、学校にフッ素洗口を導入するリスクは無視できないはずだ。

 そしてもうひとつ。行政職としてわたしもつねづねそんな傾向を自戒しているが、行政は、一度予算のついた事業をとりやめることは、立ち上げるよりもはるかに難しいという性格をもっている。フッ素洗口導入がどんどん進んでいる今こそ、そのことへの危機意識をもっていなければ、将来に禍根を残すことになりかねない。

 いずれにしろ、子どもが多様化し、“一律に、一斉に推し進める”ことのむずかしさを知るわたしたちは、フッ素について学習を深め、その対応を養護教員ひとりに押しつけるのではなく、わたしたち全員の問題として考えることが必要だろう。そうでなければ、子ども以上に多様化した保護者からの、学校自体への信頼がゆらいでしまうのではないか。

※推進派の言によれば、学校で使用するフッ素は、飲み込んだところで影響はない、とのこと。しかし、もとはアルミ精錬の廃棄物だった歴史を持つフッ化ナトリウムを、飲み込んでも影響はありませんと学校が説明をし、そのことを保護者が納得すると考える方が楽天的すぎないだろうか。

※画像は「シカゴ」Chicago(’02)
 あーダメだこれは。わたしはどうしても楽しめなかった。リチャード・ギアとレニー・ゼルウィガーという大好きな主演コンビ+音楽ダニー・エルフマンなのに、どうして。

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F3。

2008-02-12 | 情宣「さかた」裏版

Shogo_butawonusumu フッ素シリーズ第三弾。第二弾はこちら
発行は2003年3月6日でした。

そもそもどうしてフッ素を利用するとむし歯になりにくいのか、例の素人の保護者は、ひたすらインターネットで情報を集めまくる。

 歴史は意外に新しい。20世紀初めに始まるお話。1901年、ナポリの駐在医官イーガーが、火山と関係のある住民に、まだら状の濁りがある歯(斑状歯)の持ち主が多いことを発見。その後、ナポリで給水系統が変わってから斑状歯がみられなくなった地区があったことが報告される。

そしてその頃には、斑状歯の持ち主にはむし歯が少ないことも報告されていた。これらの結果をうけて、飲料水フッ素濃度とむし歯には相関性があると判断したアメリカとカナダで、上水道フッ素添加が開始された。これが1945年のこと。日本が飢餓のどん底にいたとき、アメリカではむし歯予防に予算をつけていたわけだ。

 日本でも50年代から上水道にフッ化ナトリウムを添加する地区が出てきたのだが、この流れを頓挫させる事件が起きる。この世界では有名な話らしい「宝塚斑状歯事件」である。

 1971年、ある歯科医師が、宝塚市の特定の地区に斑状歯が高率でみられることに気づいた。彼の報告をもとに、宝塚歯科医師会や京大は水源の変更をもとめたが、適切な措置がとられず、被害が広がったといわれている。ちなみにこの医師は、フッ素被害の風評が地域振興の妨げになるためにさまざまな嫌がらせをうけ、県外に転居を余儀なくさせられている。

 こんな事件がありながらも、フッ素推進勢力は元気である。その筆頭はなんとおとなりの新潟大学歯学部予防歯科学教室。そのせいもあるのかフッ素洗口の実施施設数と実施人数は新潟がダントツのトップ。なにしろ全体の1/3強を新潟で占めているのだ。この推進グループの最終的な目的は水道水へのフッ素の添加で、おひざ元の新潟市で画策したのだが、このときは市民グループの反対で阻まれてしまっている。

 そこで“その代わりに”出てきたのが小中学校でのフッ素洗口。ある意味、わかりやすい図式である。

 前面に立たざるをえなくなった養護教員の悩みは深い。そして山形県教職員組合養護教員部はこの動きに明確に反対している。根拠はとりあえず四つ。これがまことに冷静で、納得できるものなのだ。それでも推進されていく学校が増えているのはなぜなのか。どうやら、行政の方に話は移っていく。

Shogo_sideb ※なぜ学校でのフッ素洗口に反対しているの?

①学校は教育現場であって、薬品を用いて予防を行う医療の現場ではない。

②『疑わしきは用いず』は予防医学の原則。学校保健の主体は、安全性の確立されていない薬物にたよる予防ではなく、広く深く子どもたちの成長につながる適切な食事や歯みがきの指導であると考える。

③洗口用の医薬品は(それ自体は劇薬)、歯科医師の処方のもと、蒸留水で希釈して、歯科衛生士が実施できると規定されている。それを学校で養護教諭や学級担任の手で行ってよいのか。まして多忙が叫ばれる学校現場で安全に実施される保証はない。歯科医師不在の医療行為で事故があった場合、どう対応するのか。

④フッ素塗布、洗口は歯科医師の指導のもと、保護者が必要と認めたとき、保護者の責任において行うものである。子どもたちの歯の状況は個々に違うはず。それなのに一律に学校で実施すべきものではない。

   山形県教職員組合養護教員部

※新潟大出身のみなさまには申し訳ないが、推進派の主張で連想するギャグがある。「健康のためなら死んでもいい」というヤツ。優先順位が、違っていないか?

F4につづく
画像は佐藤正午「豚を盗む」「Side-B]
同じことをくりかえしくりかえし語る正午。すべてが言い訳の連続とも言える正午。「永遠の1/2」と「リボルバー」の変奏曲だけだとも言える正午。大好き(笑)。ホントよ。

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F2。

2008-02-12 | 情宣「さかた」裏版

Furukawahideo02 フッ素シリーズ第二弾。第一弾はこちら。
発行は2003年2月19日でした。素人であることを大々的にアピールする卑怯ぶりです(笑)。

 たとえばわたしのような医療系ど素人な人間の子どもが通う学校が、新年度からフッ素洗口を導入する意向だとします。学校はそのことを保護者に問います。いかがでしょうか?と。

理由は次号あたりでお知らせしますが、ここは通知ではなくて希望を問う形になるでしょう。その文書にはフッ素洗口のメリットが列記されているはず。こんな感じ。

1.小学校6年間実施すると、永久歯のむし歯が半分に減ります。

2.特に前歯のむし歯予防に効果が大きいと思われます。

3.小さなむし歯ができても、進行しにくくなります。

4.予防効果はやめたあとも持続します。

おーこれはいいことだらけではないか。そういえばウチで使っている歯磨き粉にもフッ素は入っているし、こどもの歯の健康に!とガムにまで含まれているヤツがあったはず。誰も反対なんかする人はいないだろう、さっそく○をつけて……ん?でもこの前、気になる記事が新聞に載ってたよな。

フッ素入りガムなどの販売禁止 ベルギー政府

 ベルギー消費者保護・保健・環境省は30日、虫歯予防のためのフッ素入りガムや錠剤、ドロップの販売を禁止することを決めた。

 声明によると、フッ素の摂取が多すぎると神経系に影響が出て骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などの副作用がある、と省内の専門家会議が判断した。ただしフッ素を添加した練り歯磨きについては禁止の対象にしなかった。

 ベルギー政府は90年代半ばからフッ素の取りすぎを問題視し、2年前に欧州連合(EU)に疑問を提起した。しかしEU側の検討作業が遅れたため、欧州で初めての単独禁止に踏み切った。

 販売禁止の決定に対して歯科医の間には反対の声もあるが、同省報道官によると、フランドル歯科学会は錠剤などによるフッ素の取りすぎの危険性については同意しているという。
 販売禁止措置は8月の官報掲載後に実行に移される見通し。

2002年7月31日付 朝日新聞

 こ、これはどういうことだぁ?かくして素人ではあるもののインターネットに耽溺することでは人後に落ちないこの保護者は、フッ素関係のサイトに次々に入り込む……そこでは、おそろしいことにフッ素賛成派と反対派の壮絶なバトルが行われていることを“知ってしまう”。

 そして彼は疑問に思う。いったいなぜこどもの通う学校は、こんな状態のまま、フッ素洗口を導入するのだろうか、と。
なるべく公正を期すために、推進派の意見も並列させてみましょう。

フッ素って安全なの?
 フッ素は、諸外国では半世紀以上前からむし歯予防に使われていて、WHO(世界保健機構)も使用をすすめています。水道水にも加えられており、高い効果を上げています。残念ながら日本では、まだまだフッ素の応用は遅れています。遅れている主な原因は、フッ素の安全性に対する誤解と考えられます。

 もっとも大きな誤解は、フッ素の量に対するものです。たとえば、栄養剤もとりすぎれば有害となるようにフッ素もとりすぎれば有害となります。指示された量を、よく守って使用すれば、フッ素は安全で確実なむし歯予防法です。

※神奈川県・神奈川県医師会「フッ素でつよい歯じょうぶな歯~フッ素洗口手帳~」より

さて、それでは山形県は、そして山形県教組養護教員部は、この問題にどう対応してきたのでしょう。

F3につづく。画像は古川日出男「ロックンロール七部作」。
「ベルカ~」の続編にしてあれよりはるかにすばらしい。
小林恭二の「ゼウスガーデン衰亡史」から20数年。日本の小説もここまで来たかあ。こんな古川に芥川賞をやれない文藝春秋に呪いあれ!

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F。

2008-02-12 | 情宣「さかた」裏版

Furukawahideo01 クミアイ情宣シリーズ。学校事務職員と同様に少数職種である養護教諭の課題をとりあげた。フッ素の問題である。これは、現在にいたってもまだもめている。こんな“”で“乱暴”な話が、とあきれる思いだ。
発行は2003年2月9日でした。

 圧倒的に多数な“教員”のなか、行政職である事務職員が組合の代表になっていることで、実はかなりキツい場面に遭遇することもあります。世間的には「教職員組合」より「教員組合」の方がまだとおりがいいようですし。

 でも、不遜を承知でいえば、少数職種である栄養職員や養護教員、そして事務職員については、多少なりとも“一般の”教員よりもその痛みが承知できているのではないか、との自負はあるし、専門部とよばれるこれらの職種の課題を見過ごしていては、それこそ全体が穏やかならざる方向に進みかねない、との危惧もまた、ひとしおに感じています。

 だからこそ今のうちに(笑)酒田地区支部からそれぞれがかかえる問題を全体の課題として発信していきたいと企んでいます。ひとつよろしく。
 で、今回は養護教員部篇。

 山形教育新聞に、県養護教員部長が連載した「フッ素シリーズ」を読んでいただけたでしょうか。身内ボメになるようですが、これは好企画でした。フッ素(元素記号F)洗口の問題が、養護教員の世界だけの問題ではなく、教育、医療、行政それぞれの意向が激しくぶつかり合い、結果的に養護教諭がその相克のなかで悩まざるをえなくなっている課題であることが、これまでになく理解できたからです。

 まずは全体化への第1歩、「フッ素洗口とはいったい具体的にはどんなものなのか」から考えてみます。
実施されている例をあげると

・フッ素ナトリウム(NaF)の低濃度溶液を

・週1~5回

・10cc程度口に含み

・ほぼ1分間洗口(ブクブクうがい)させる

・以降30分間は飲食させない

というもの。この際、一般的には

・指導を学校歯科医が行い

・薬剤管理と洗口液の溶解希釈は養護教員

・各クラスの指導管理はクラス担任が行う

こととされている例が多いようです。

※実施回数が多くなればなるほど、溶液の濃度は低くなる。
最近は薬剤師が希釈した溶液が用意されるらしい。希釈された段階でそれを扱うのは『医療行為』ではなくなっている、というのが県教委の主張。

さて、次号からはこのフッ素洗口がなぜ導入され、あるいはなぜ導入されないのかを検証していきます。乞うご期待。

画像は古川日出男の「ベルカ、吠えないのか?」
混沌はいつもどおり。でも今ひとつのれないのは、「サウンドトラック」のような理不尽さに欠けているからかも。それにしてもベルカ、いい歯並びですね。

【F2につづく】

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