宮崎県精神保健福祉士会研修会に参加してきました。
今回の講師は、日本精神保健福祉士協会常務理事の木太直人先生でした。
「精神保健福祉士を取り巻く現状と課題について」と題され、現代社会において精神保健福祉士の対象領域が広がり、役割と期待が大きくなっていることなどを解説されていきました。
国は精神保健医療福祉の改革ビジョンの中で30万床を超える精神科入院ベッドを、平成16年からの10年間で7万床減少させ、さらに統合失調症入院患者数を15万人に減少させる方針を打ちだしています。
しかしその劇的な改革ビジョンとは裏腹に、全国の精神科病床数は微減に留まっており、このままのペースでは方針達成は100%不可能です。
宮崎県も国の示す方針にあてはめると、既存病床数6225床に対し、基準病床数4376床となり、1849床は削減対象となります。
つまり国は全国で7万人、宮崎県でも1849人もの社会的入院を余儀なくされている方がいらっしゃることを認めているとも解釈できます。
社会的入院とは、本来入院治療は必要でないものの、地域の受け皿がないが故に入院生活を余儀なくされている状況をさします。
地域の受け皿とは、単に家族をさすのではなく、グループホームやケアホームや就労系サービス提供を含む地域生活支援事業などがそれにあたりますが、それらの整備なしに単なる退院措置はありえないわけですから、方針を示したのであれば速やかに受け皿つくりをすすめていく責任が、国・県にはあります。
しかし遅々として進んでいない!
これを絵に描いたもちと言います。
無責任な計画のおかげで、当事者や家族の期待は裏切られ、医療関係者は振り回され、誰が責任を取ることもなく計画はすりかえられていきます。
障がいがあっても、高齢であっても、住み慣れた地域で暮らし続けていける真に強い社会、真に心豊かな社会創りのためにやらなければならないことはまだまだあります。
講演に内容は非常に分かりやすく、現状整理をする上でたいへん役に立つものでありましたが、私は行政に携わる者として一人ジリジリしていました。