起きたら9時半だった。
夫はすでに持ち込みのパンとコーヒー、パック牛乳で朝食を済ませていた。
かすかな振動が感じられるだけで、揺れもせず、幅狭のベッドでまあまあよく眠れた。
まもなくすれちがいのフェリーが近くを通りますという放送があり、モタモタしていて、(ちゃんと時間を聞いておいてぇや)デッキに出たらすでに洋上遥か彼方になってしもてた。
私としたことが!
携帯の送受信はできないが、考えたら(考えんでもわかるがな)メールを書いておくことはできるんやわ。
送信は夜になるけど、とりあえず書いておこ。
こんなことしてたら、本を読む暇もなく、すぐに夜になりそうだ。
考えたら(考えんでも)家に居るときも、朝家事を手早く済ませて、1日何の用事もなくても、本なんて読まないまま夜になってしまう。
旅に出て本読もうなんて、それは本当、甘い幻想なのだ。
でも、長旅で乗り物に身を委ね、本のページを繰るというシーンも含めて旅の楽しさなんだろう。
あ、秋田県の山がうっすら見えている。
電波が入ったみたい。