日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「人や召されし」1首

2020年05月04日 | 日記
 十数年前、しばらく担当していた留学生から、私の誕生日に毎年きていたメールが、ある年、きませんでした。その数か月前に、彼女の地元で大きな災害があり、こちらから連絡するのは遠慮しましたが、彼女は大丈夫だったろうか、どうか無事でありますように、けがをしていたらお大事に、もしも万一亡くなっていたら、ご冥福がありますよう、にと祈りました。
 その年から、誕生祝いのメールがこなくなり、おそらく天に召されたのだろうと思い、ご冥福を祈りました。
 その後も、多くの留学生の指導を手伝いましたが、ときおり、メールのやり取りで、縁が続くことがあります。今年2月、そのような一人の職場の近くを通りかかる予定があり、都合を聞いたところ、昨年までは折にふれ連絡がきていた彼女からは、返信がありませんでした。
 「都合が悪いときはお読み捨てください」、というのが、私の決まり文句ですから、都合がつかなかったのだろうと思って、あまり気に留めていませんでした。しかし3カ月も音沙汰がなく、新型ウィルスの感染症のこともあり、ふと万一のことも想像されては、おそらく結婚されたか何かで、これまでの人間関係を整理したのだろうかと、想像し直しました。
 後者であればよいのですが。

 数年前の人も、今度連絡が途切れた人も、宗教こそ違え、信仰深い人たちでした。良い人は天に早く召されるという、悲しい言い習わしもあります。この世であれ、かの世であれ、彼女たちが幸せであることを祈ります。

天つ国に 人や召されし 
去年(こぞ)までは 便りありしに 
今は聞こえぬ

(信仰深く神に愛された貴女は、天に召されたのでしょうか。去年までは折々の便りがあったのに、今は音沙汰がなくなりました)

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