日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「都大路」の歌、推敲

2012年08月01日 | 日記
 前回の歌を、2字だけ、推敲します。

ひかりみつ みやこおおじの おとやみて こだちのうれや ゆらぎかがよう
ひかり満つ 都大路の 音止みて 木立のうれや 揺らぎかゞよふ 
(陽の光が満ちる都会の大通りが、ふと車や人の動きが止まって音も途切れ、ただ街路樹の梢の葉が、風に細かく揺れて、明暗に点滅するようです)

 1句めは、蒸気のような、光の微粒子が充満する様子を詠んだものです。これを「光ふる」とします。
「ふる」とは、折口信夫の「たまふり」の研究によれば、触れること、降ってくることで、振る(振動させる)ことではありまsん。この語源については、古代朝鮮語の研究から、「プリ」「プル」とは、光輝くこと、という説があります。刀剣を使って「たまふり」をする、というのは、きらきら輝くものに、神秘的、呪術的な力を感じたのだろう、と言われます。

 この語源的なニュアンスをこめれば、「光ふる」とは、陽の光がきらきらと粒になって降り注ぎ、それが地上のものに触れてくる、という生々しい感じになります。2字変えただけで、歌の姿、心が、格段に上がります。

ひかりふる みやこおおじの おとやみて こだちのうれや ゆらぎかがよう
光ふる 都大路の 音止みて 木立のうれや 揺らぎかゞよふ 
(陽の光が空から降ってきて、きらきらとした粒が都会の大通りに満ち溢れると、ふと車や人の動きが止まって音も途切れ、ただ街路樹の梢の葉が、風に細かく揺れて、明暗に点滅するようです)


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ホームページ「日守麟伍ライブラリ」http://book.geocities.jp/himringo/index.htm








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