自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

高校駅伝の応援に

2013-12-23 | 日記

12月22日(日),恒例の全国高等学校駅伝競走大会が京都市で開催されました。わたしは,家族・知人と一緒に応援に出かけました。

例年になく暖かく感じられて,曇ったり晴れたりしながらも時には日差しも強く,コンディションは上々だったように思います。遠くの比叡山は真っ白に雪化粧をしていました。さすがに,師走の古都です。応援する者にとっても,快適な一日になりました。

 

現地で,別の知人グループとご一緒させていただいて,駅伝や趣味の話やらいろいろたのしい話題で花が咲きました。応援では,ここぞとばかりに大きな声を出しました。応援はたのしく,盛り上がって,気持ちよく,がなんともいいですね。

結果として,応援ポイントは3地点となりました。鞍馬口(第1・第2走者中継地点)→国際会館(折り返し地点)→西京極陸上競技場(ゴール)と移動しながらの応援でした。移動は電車です。知人の皆さん,応援のベテランばかりでそのあとを付いて行ったというわけです。そうそう,電車の中で偶然,選手のご両親と話す機会がありました。気苦労,気遣いで,とてもたいへんなご様子でした。

 

応援した地元高校の成績は期待したほどではなかったのですが,それぞれの選手が精一杯走った結果にとやかくいえません。選手は頑張ったのですから。どのチームもベストを尽くすわけですから。ともかく,お疲れさま。

今回は,4チームの最終ランナーが競り合って競技場に入ってきました。大会史上,初めてのことだったそうです。まさにデッドヒートを展開して,結末を迎えました。甲高い声援が場内を圧倒しました。なんと劇的なドラマになったことか!

 


今,アゲハの幼虫は……

2013-12-22 | キアゲハ

12月中旬。凍てつく寒さの中,新たにアゲハの幼虫を3個体,発見。

1個体はどうやら脱皮をしているようでした(下写真)。「ようでした」というのは,頭部がきれいな橙色をしていたので,そう思われたのです。その後,結局そのままの格好でいのちが絶えてしまいました。そのうちに体内の水分が減って,とても小さくなっていきました。厳しい寒さに耐えることができなかったのです。 

 

他の2個体については,観察することを優先して室内に入れました。そのうちの一つは,4齢幼虫で,体長は2.5cmです。室内でもかなり気温が下がるために,動きはかなり鈍く見えます。それでも,葉を見ると食べた跡がいくつか残っています。

下写真は,たまたま食餌風景を見て撮ったものです。大顎が確認できます。

 

 

もう一つは,終齢幼虫です。とはいえ,寒さのせいかとても小型で,体長が2.8cm。体色は,頭部辺りがやや濃い緑で,他は薄い緑色を呈しています。それも寒さによるのでしょう。

 

幼虫2個体がいつ,どんな様子で蛹化するか,蛹化までいけるのか,見届けることにしましょう。 

 


二人の中学生

2013-12-21 | 日記

12月20日(金)。

標高1000mの山の頂きに,薄っすらと積雪が見られる日が訪れました(下写真の矢印)。この日,雪は一日融けずに残っていました。寒いながらも,日中は日差しが強く,風が軟らかいなあという感じでした。

 

昼休み,いつものコースをウォーキングしました。途中,後ろから下校中の中学生が二人近づいて来たようです。わたしは気づかなかったのですが,追い越すときに,「こんにちは!」と元気のよい声をかけてくれたので,そうとわかりました。ほんとうに,気持ちのよい声で!

その瞬間,二人はわたしの方をチラッと振り返ったようです。たぶん,ふだん見かけない人が歩いているので「誰だろう」というぐらいの気持ちがあったのでしょう。それで,「アッ! おじさんや!」と声を上げました。「自然となかよしおじさんや!」 「わたしらの校長先生や!」「お久し振りです」ともいいました。

わたしは,「ほんとうにお久し振り! そのおじさんや。よく覚えていてくれたねぇ」と応えました。いちばんに“自然となかよしおじさん”と出てきたのがとくべつうれしかったですね。二人はくっきりわたしの記憶に残る,RさんとMさんでした。「中学校はたのしい」といいながら,受験を控えてほぼ受験校が決まったという話,小学校のときの話などいくつかのことを話してくれました。

つながりがある関係というものは人を温かくします。人と人がどこかで,なにかで,ふれ合うというのはこころに栄養を残してくれるものです。そんなわけで若い芽に,うんと応援したい気持ちが膨らみました。

日差しを浴びながらの立ち話。心地よいひとときが流れていきました。健やかに育つ中学生二人に再会して,さわやかな気持ちに浸れました。

 

のどかな田舎の道はいいものです。人も自然も,空気もゆったりしていて,それでチョット刺激的です。 

 


テントウムシ,羽化に失敗

2013-12-20 | 昆虫

キンカンの葉に,テントウムシの蛹が一つ付いていました。体長は3mm。発見したのが12月6日(金)。体表は白っぽく,中が赤く見ています。おもしろい姿をしているので,写真に収めました。 

 

その葉の近くに,よく似た蛹がもう一つありました。ただ,中央付近が赤く見えていました。小さ過ぎるので,肉眼では正体がわかりません。ルーペで調べてみると,なんと羽化している最中でした。それで,大急ぎでカメラを据えて撮影することにしました。

 

昼前に殻から出始めようとして,苦労していました。わたしは,ときどき見ながら,どうなるか見届けようと思っていました。しかし夕方になっても,ほとんど変化はありませんでした。つまり,出ようとして出られない状態が続いたのです。

止む無く,ちょっと手助けをしてみることにしました。すると,赤いからだがスポッと殻から出てきました。ところが,軟らかい筈の翅が時間経過によって変形したまま硬くなっていたのです。 

 

結局,羽化は失敗に終わりました。誰のせいでも,何のいたずらでもありません。自然の厳しさと思うほかありません。

急いで名を調べました。からだの特徴や体長から見て,どうやらベダリアテントウあたりかなと思われます。もしそうなら,わたしは初めてお目にかかります。このテントウムシはオーストラリアから導入されたようです。カイガラムシの天敵らしいので,キンカンにいるカイガラムシを退治してくれるのでしょう。 

はじめに発見した蛹がまだ葉に付いたままなので,運がよければもう一度羽化が見られるかもしれません。

 


キンカンを寝床にする昆虫(続)

2013-12-19 | 昆虫

昆虫はもういないかと思って,探してみるといました。

ツマグロキンバエ(オス)が葉の表側にじっとしています。複眼の縞模様が鮮やかです。お互いが識別し合うときに,役立つ紋様なのでしょうか。何度見ても,頭をすっぽり覆うばかりの眼の大きさには圧倒されます。 

 

別の葉に,,お馴染みのキゴシハナアブがいました。 気温が下がってはどうしようもないという感じ。指を触れても,ほとんど動きませんでした。

 

葉の先に,ハエの仲間がとまっていました。体形から見て,上がオスです。撮影していると,目障りに感じたのか,移動し始めました。そして,そのうちに合体しまままプイッと飛び上がりました。

 

観察しようとするなら,そのものをよくよく探してみるということがたいせつです。いないと思っていても,案外いるかもしれません。観察者の勝手な思い込みが災いして,見る機会を失うのは勿体ないことです。 

 


今,クロアゲハの幼虫

2013-12-19 | クロアゲハ

12月16日(月)。

我が家の車庫の前に,大きなスダチの木があります。そこを通りかかったとき,たまたま枝を見ると,目の高さぐらいのところにクロアゲハの幼虫が一つ,じっとしていました。アゲハの幼虫に続く目撃です。こんな寒い中で,よくいるものだなあと感じ入りました。

 

ところが,ふしぎなもので,「ほかにはもういないだろうな」と否定的な思いを持ちながらとりあえず探すと,なんと次々と見つかったのです。ほんの1分も経たないうちに! これで,クロアゲハの幼虫が一気に三匹見つかったことになります。つまむと,クロアゲハらしく赤紫色の臭角を出しました。

 

このままだったら,たぶん蛹化までには至らないだろうと思い,飼育箱で飼ってみることにしました。これは余計なお節介なのですが……。

今頃生きているということでふと思ったことがあります。たとえば,一頭の成虫が200個の卵を産むとします。このうち少なくとも何個分が無事に成虫にまで生育するかという話です。正解は2個なのですが,個体数を現状維持しようと思えば,それで足るのです。すべての生きものが個体数で現状維持すると考えれば,たった2個でも,それで十分な2個です。

それでは今の時期の幼虫は,このうちの2個に入るのかどうか。気になるところです。わたしは,たぶん入らないだろうと思います。今の時期自然界では厳しいなあ,と思うのです。

こんなことを考えていると,3億個の卵を産むマンボウの例が浮かびます。マンボウの卵はいったい何個が親になれるか,です。それも正解は2個! “3億分の2”は,「たったそれだけ!」なのではなく,「2個を残すための3億個」と考えれば納得できるでしょう。

マンボウの場合二匹が無事に成長するには,3億個もの数を必要としているのです。それだけ海洋の環境が厳しいことを物語っています。それに比べれば,アゲハで2個のための200個だなんて,地上はじつにやさしい環境だともいえます。卵の生存率を比べると,マンボウは0.000000666……%,アゲハは1%!

それぞれの生きものは子孫を残すことに全霊をかけているわけですし,個体数で現状が維持できている結果がまさに産卵数となって現れているのです。さらにいえば,産卵数が多い生きものはそれだけ弱い立場にあるのだし,少ない生きものは強者とみなすことができます。

というわけで,今の時期の幼虫が成虫になりうるのか,つまり2個のうちに入れるのかつきとめたいと思っています。しかし,室内の飼育では自然環境とかけ離れているので,参考資料を得られるのに過ぎませんが。 

 


“花と実(タネ)”とジャガイモとわたし,よもやま話(6)

2013-12-18 | 随想

タケにこだわって,もう少し書いておこうと思います。

わたしの住む地方で竹薮(マダケ・モウソウチク)が枯れたのが昭和48年(1973年)頃でした。“頃”というのは,たった一年というのでなく,前後複数年に亘っていたので,はっきりした年は限定できないという意味です。

 

そのときは,関東地方以西の竹薮で同じ現象が広く見られたという記録が残っています。

ここからは竹薮が枯れた後の話をしましょう。竹藪の再生は種子だけでなされたようには見えませんでした。なにしろ,ほんの数年で戻ったという感じがしたものですから。いってみれば,「アレヨ,アレヨ」という間の出来事でした。種子だけで再生するとすれば,まことに頼りない風景だった筈。元に戻るにはなんと10年から20年かかるそうです。では,いったいどうやって再生できたのでしょうか。

下写真は,開花によってほとんど枯れた藪の様子です。それまでは,向こう側に竹藪が広がっていたのです。

 

当時,「ほんとうに種子で藪が元通りに戻るのかな」という好奇心があったものですから,文献でも調べました。この記憶ははっきり残っています。結果,意外なことがわかりました。ふつう,タケは地下茎を伸ばして繁殖します。藪があるとすれば,多くのタケが地下茎でつながっているとみてもよいほどなのです。つまり,それぞれのタケはきょうだいなんだ,と。枯れたように見える藪の地中で,ひっそり部分的に生き残っている地下茎があるのだそうです。そして,それも再生への出発点になるとか。

確かに,わずかであっても地下茎で再生し始めると,タケの旺盛な生命力は藪を短期間で元通りにしてしまうでしょう。実際,竹薮は10年~20年の間,無惨な姿をとどめ続けたわけではありませんでした。タケは,種族維持の手段として地下茎からの再生,そして種子からの再生,この二つの手を備えているわけです。地下茎ならこれまでと同じ遺伝子をもつ子孫が存続します。種子で再生するなら,異なる遺伝子を伝えられます。

こうして再生した竹薮は,いわば親戚の寄り合い所帯といえます。一つの家族だけで,地下茎の平均総延長は100mという話があります。

地下茎・種子の両戦略が功を奏すれば,一つの藪で多様な遺伝子を次世代に残していけます。まことにしたたかな生き延び方です。

開花時期の周期は60年。昭和40年代末に開花したことから数えると,次に開花するのは2030年代の前半になるでしょう。つまり,あと20年!

もう一度,同じ風景を見て,そして,くわしく観察できたら,申し分ないのですが……。そのことを思うと,わくわくします。それまで健康でいたいですね。

 


“花と実(タネ)”とジャガイモとわたし,よもやま話(5)

2013-12-17 | 随想

前回,タケ(あるいはササ)の種子とネズミの話にちょっと触れました。これに関して,印象に残る話があります。そのネタを取り上げたくて,当時の新聞記事(1972年9月21日付け朝日新聞)及び理科文庫『木曽谷のネズミそうどう』(真船和夫著/日本標準テスト研究会刊)を授業に組み込んだ年もありました。そこには,わたしにとって眼にウロコの情報が記載されていました。

前者の記事に以下の記述があります。

「この異常繁殖は,60年に一度といわれるササの花が狂い咲き,その実がかっこうのエサになったのが原因らしいが,農林省林業試験場(東京)では,野ネズミが木をかじるのは,繁殖しすぎて過密状態になりノイローゼ気味のネズミが“ストレス解消”をはかったものと,といっており,被害はなお広がりそうだ」。このエピソードと極似した話題が『木曽谷のネズミそうどう』にも出ています。

 

 

後者では食物連鎖を扱った話題が子どもにもわかりやすく取り上げられています。言い換えるなら,衝撃的な例かと思います。今読んでも,強い感銘を受けるでしょう。だって,この理科文庫シリーズは,子供向けのすぐれた科学啓発書が少ない時代に,手にしやすいコンパクト版としてまとめられたものなのですから。書き手は子どもの知的好奇心に火をともし,わくわくした気持ちで自然科学の扉を開けるようにと願っている人ばかりです。

 

 

ついで話になりますが,タケの花についてはパンダとの関係が浮かびます。パンダはタケを主食としているため,それが開花すると生息に大きな影響が出始めます。実際,中国ではそうした事態が繰り返されてきているのです。新聞報道でそうした状況を知り,納得したことがあります。

ただ,いくらタケが枯れたからといってもパンダが死滅しているわけではないことを考えると,中国全土のタケが一斉に枯れ死するということでもないのでしょう。タケの種類により,順次年を追って枯れるのでしょうか。

それはともかくとして,タケの枯れ死現象は60年ごとに繰り返されてきたわけです。タケは間違いなく開花すれば枯れます。これは草本植物に共通した性質です。観察者から見れば,『花が咲けば種子ができる』という事実,植物自身からすれば『子孫を残して枯れる』という法則に沿った現象に過ぎません。タケは当たり前の種子植物であることを改めて感じた次第です。 

 


ツワブキに残された昆虫

2013-12-16 | 昆虫

夜のツワブキを観察していて,小さなアブが蕊の間に埋もれているのに気づきました。「ははーん,ここをねぐらにしているんだな」と,そのときは思いつつ写真を撮りました。からだには花粉が所々付いていて,「なんとマア,幸せなことよ!」と思いました。撮影中,ちっとも動きませんでした。 

 

それで,こんなに深く入り込んで,おかしなアブだな,少し変だなと感じ,翌朝再び観察してみようと思いました。

さて,次の朝のこと。見ると,朝露が花に付き,アブにも小さな水玉が付いていました。姿勢は昨晩と違い,仰向け状態になっていました。ふしぎなことです。自力で動いたとでもいうのでしょうか。そのあと,息絶えた? 自然の成り行きとはいえ,かわいそうな姿に思えました。

 

 

わたしの想像ですが,からだが衰弱し切ってねぐらを見つけられずにいたところ,夜の寒さにやられたのではないでしょうか。

自然の様相は,じつに多彩です。死の風景もまたそうです。 

 


科学教室『ペットボトルで空気砲を作ろう』

2013-12-15 | 日記

職場でわたしが担当している科学教室は,身近な素材を生かして自然のふれ合うことをねらいとしています。やって来る子どもは幼児から小学6年まで。幅が広いので,モノ作りなら,できるだけ家庭で入手できる材料を加工して,簡単に仕上げることができるもの(ちょっと手助けをしてもらえばできるもの),そして,そのことを通して自然と対話できるたのしさが味わえるもの,と考えています。

今月(12月14日)は,ペットボトルで空気砲を作りました。参加者は子ども11人。そこに地元中学生が7人手伝いで加わってくれて,大盛況でした。ふれ合いの場になったのがなにより。

結果からいえば,今回ほど,わたしが楽をして,子どもたちがにぎやかに楽しんでくれたことはなかったように思います。だって,中学生に作り方のポイントを教授して,あとはほとんど任せっ放しでしたから。出来上がったら,子どもたちは実にそれを使ってのびのびと遊んでいたからです。

このタイプの空気砲は科学イベントでよく取り上げられています。作り方はごく簡単で,500mlの炭酸飲料用ペットボトルの容器を使います。その底を切り抜いて,風船を被せ,ハイできあがり! もちろん,風船が外れないようにテープで固定します。そうして,風船の底をウーンと引っ張って,ポンと放すと空気が飛び出して,的に当たるのです。

下写真のように,協力してつくり上げました。

 

わいわいいいながら,的に当てる練習をしました。

 

大会もしました。終了後,みんなにとくべつな手作り景品をプレゼントしました。

教室終了後に書いてもらった評価を見ると,結構肯定的だったように感じました。中学生も,「また来て手伝いたい!」と書いていました。