昆虫と花の関係ということで,近頃,ナズナの訪花昆虫について気にかけています。なにしろ,ナズナは人間にとってとても身近な野草でもあるし,至る所に生えている草ですから。
ところが,この花ならいつでもたくさんの昆虫が見られるだろうと思っていると,とんでもありません。なかなか目撃できないのです。たぶん,それは花がごく小さいので,わたしたちの目に付く大きめの昆虫が訪れるのはとても少ないためでしょう。花弁にしても,白いものの遠くからではほとんど見分けが付かない程です。それに,匂いだってうんと頼りないはず。
時間をかけて観察していれば別ですが,ふつうはそんなわけにはいきません。実際,少し立ち止まって見ていてもほんとうに少ない感じがします。なのに,ちゃんと結実するのですから,とてもふしぎに思えます。
さて,そう思って見ているときのこと。たまたまホソツヤヒラタアブが目にとまりました。一瞬,「スゴイ!」と,こころが踊りました。「どうか飛び去らないで」と願いながら,撮ったのが下写真です。
口元を見ると,確かに,餌を口にしている様子です。
慎重すぎる程慎重に近寄れば,ちっとも気づかないようです。お蔭で,ナズナの新たな送粉者と対面できました。
こういうときは,とにかくうれしい限りです。