3月6日(金)。啓蟄。
冬,昆虫の成体にどっさり出合ってきたものですから,「啓蟄だからどうのこうの」という感じはまるでしません。出合ったら「今日は,冬にしてはあったかいもんな」と思ったり,出合いたかったら「今日はあったかいから出合えそうだな」と予感したりでした。
そんなわけで,啓蟄の今日,昼のウォーキングをしていて,ホシノヒトミでホソヒラタアブを見かけたり,また別の場所でヒメフンバエを見かけたりしても,ふしぎな気持ちはまるでありませんでした。感慨といったものも,湧いてきません。もっとも,「オーッ,フンバエだ!」と今春初めての出合いを大喜びしたのでしたが。
ホシノヒトミはじつにちっぽけな花です。そこに,花からはみ出す程の昆虫がいるのは,やはり刺激的です。体長10mm。そんな昆虫にも蜜を提供していますし,その昆虫のお蔭もあって送受粉が成り立っているのです。
昆虫は周りの環境に敏感です。餌に対しても,捕食者に対しても。それで,わたしの姿・動きが眼にとまらないように慎重に近づかなくてはなりません。幸い,ちっとも気がついていない様子でした。
ヒメフンバエは歩いて近くの花に移動していきました。花から花へ直接移るときもありましが,たいていは葉や茎,他の草を伝っているようにして。結局,全部で10個程度は巡ったでしょう。見ていると,からだにつく花粉がどんどん増えていくといった感じでした。
からだ中に花粉が付いて,花を巡っているうちに,別の花のメシベにちゃんと触れているのですから,じつに効率のよい受粉です。
昆虫と花が共進化を遂げた結果,自然バランスの一角をみごとに担っているのです。すてきな場面に出合えました。