葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

2003年のSARSについて カナダ編

2020-07-25 | 2003年SARS
サイエンスの2003年8月の記事は、8月の140人の流行についてWHOがSARSコロナウイルスの関与を否定したものです。
2003年3月と4月のカナダでの流行は、SARSであると考えられています。

しかし、カナダの流行については、まず、カナダの患者1号が、香港の患者1号とホテルで接触したのかが問題だと思います。前に書いたように、カナダ患者1号がチェックアウトした日に、香港患者1号がチェックインしています。

カナダの症例論文より ポウタネン論文

The first cases in Toronto were linked to members of a multigenerational family of Hong Kong descent who live in Toronto (Figure 1 and Figure 2). The Toronto index case (Patient 1) and her husband traveled to Hong Kong to visit relatives from February 13 through February 23, 2003. While in Hong Kong visiting their son, Patient 1 and her husband stayed at Hotel A from February 18 through February 21. Another hotel guest, who eventually was identified as the source patient for SARS in Hong Kong, also stayed on the same floor at Hotel A.2 Patient 1 and her husband stayed in the hotel only at night, spending the days visiting their son. They returned to their apartment in Toronto, which they shared with two sons, a daughter-in-law, and a five-month-old grandson (Household A), on February 23, 2003.

ここで重要なのが、「息子を訪ねて香港滞在中に、患者1と彼女の夫は2月18日から2月21日までホテルAに滞在した」とあり、このホテルAに香港にSARSを持ち込んだと考えられている広東省の医師が、同じ階に泊まったと書いてあります。

論文の図2で、患者1のところに、白抜きのグレイの帯がありますが、この白抜きの部分がホテルAに滞在した日です。




WHOの記録をみると

21 February 2003
 – A 64-year-old medical doctor from Zhongshan University in Guangzhou (Guangdong Province) arrives in Hong Kong to attend a wedding. He checks into the ninth floor of the Metropole Hotel (room 911). Although he developed respiratory symptoms five days earlier, he feels well enough to sightsee and shop with his 53-year-old brother-in-law, who resides in Hong Kong. 

2003年2月21日、64歳の医師が香港に結婚式のために来島して、メトロポールホテルの9階911室にチェックインしたとあります。既に5日前に症状がでていたけれど、香港住民の義弟と観光と買い物に出かけています。

23 February
– A 78-year-old female tourist from Toronto, Canada checks out of the Metropole Hotel and begins her homeward journey. On arrival in Toronto she is reunited with her family.

WHOの記録によると、カナダの78歳の旅行者はメトロポールホテルをチェックアウトしたのが2月23日になっています。(同行した夫に関する記載なし)

WHOの記録と、カナダの症例報告論文に大きな矛盾があります。
カナダの論文では、カナダ患者1号と、広東省医師とは、ホテルで接触したとしても同日には同じ階に滞在していないことになります。むしろ、医師がチェックインする前にチェックアウトした可能性の方が大きいのではないかと常識的には考えますが、これは、ホテルの記録を調べればわかることだと思います。

カナダの論文の患者は10人で、このうちCDCのPCR検査でSARS陽性が5人、そのうち4人はメタニューモウイルスも陽性。でもどの患者が陽性なのかの情報はありません。

WHOが故意でないならば訂正しないのも問題です。

もしも、カナダ患者1号がSARSではなかったとしたら、この10症例で5人がPCR陽性であったのは何故なのかが大きな疑問として残るのです。

プラマー博士も、この10症例を超えても、疫学的にリンクしている症例で60%しか陽性にならないと苦悩されているわけです。

かと思うと、8月のOC43の流行では、SARSが否定されているのに、SARSの遺伝子配列がウイルスから見つかったり、SARSの抗体が患者から見つかって、さらにプラマー博士の苦悩は募るわけです。

コメントを投稿