葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

2003年SARSの初期に疑われたパラミクソウイルス

2020-07-23 | 2003年SARS
2003年3月19日、ドイツと香港のチームが別々にパラミクソウイルスを電子顕微鏡で特定したことを報告。

2003年3月24日、CDCがSARS疑いのタイと香港の患者から新しいコロナウイルスを電子顕微鏡で特定したことを報告。RT-PCR、蛍光抗体法、免疫染色法で、他の6人の患者のサンプルでも陽性確認した。

カナダの最初の10例の症例論文。最初の2人の患者が死亡した後、家族内結核を疑い、検査、3月9日頃、SARSが疑われた。患者の5人と無症状濃厚接触者1人からパラミクソウイルス科のヒトメタニューモウイルスを検出したが、CDCの開発したプライマーでコロナウイルスの検査も行い、4人がメタニューモウイルスと同時感染、1人がコロナのみ感染していた。オンライン掲載3月31日

2003年5月8日 Natureの記事
ドロステン(ドイツ・ハンブルグ・ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所)がSARSの診断法を確立した背景を報告している

WHOがSARSの世界レベル警告を発して、わずか11日後の3月26日に、診断法を公開した。

物語は3月上旬に始まった。ドロステンのチームは、ベトナムでの奇妙な呼吸器疾患についてのインターネット記事をみつけた「3月15日、WHOはグローバルSARSアラートを発した。2人の感染者、医師と彼の妻が、フランクフルト空港に着陸した。

ドロステンの専門はPCR診断である。サンプルに既知のウイルスかバクテリアの遺伝子が存在するならば、それに特有の配列に対応するプライマーを使用して、その病原体の遺伝子を増幅する。

フランクフルトで行われた医師から採取した痰にウイルスを見つける最初のテストは、何の結果ももたらさなかった。それで、3月17日に採取した2回目のサンプルは、熱帯ウイルスを見つけるために、ハンブルグのドロステンに送られた。既知の熱帯ウイルスが除外されたので、ドロステンはSARSに似た症状を起こすことで知られる他のあまり知られていないウイルスを考え始めた。最初に、パラミクソウイルス科のヘンドラウイルスやニパーウイルスを考えた。

フランクフルトの同僚は、患者の痰サンプルを電子顕微鏡でみて、潰れた四角い形をみつけた。典型的なパラミクソウイルスのようだった。

3月18日、パラミクソウイルスのテストを行ったが、結果は陰性だった。
驚いた。カナダの研究者がトロントの患者で、パラミクソウイルス科のメタニューモウイルスが原因病原体だと示唆していたからだ。

ドロステンはサンプルを欧州のパラミクソウイルスの専門家であるエラスムス大学のオスターハウスに送り、陰性であることを確認してもらった。

残った選択肢は、特異性の低い方法でPCRを行って幅広いウイルスを増幅することで、未知のウイルスを拾う試みであった。これには、純粋な培養が必要である。患者のサンプルは、明確な結果を得るには、ヒトの遺伝子が大量に含まれすぎている。

ドロステンはフランクフルトの医学校を卒業し、そこに多くの元同僚がいた。3月20日に、ドロステンはフランクフルトで昔の同僚の1人と、学会発表の準備をしていたとき、そこの大学で、ウイルスの培養が成功し始めたことを知った。3月22日、サンプルをもってハンブルグに戻り、新しいPCRテストを行った。

3月25日、装置は、約20の配列をはじき出した。そのうちの2つがコロナウイルスと一致した。同じころ、CDCが、SARSの病原体がコロナウイルスであると報告した。CDCは電子顕微鏡写真も提示し、典型的なコロナウイルスの王冠を示していた。その王冠は、フランクフルトの写真ではマスクされていたものだった。

コロナウイルスと関係づけることはCDCに出し抜かれたが、ドロステンは時間を無駄にせず、プライマーを作成し、他の研究所でもテストができるようにした。

翌日、研究所のウェブサイトで公表し、無料で提供した。また、PCRテストでウイルスのポジティブコントロールとして使用できる合成配列も提供した。

CDCと香港のチームもPCR診断法を提供しているが、ポジティブコントロールを提供しているのはドロステンだけである。

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