古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

因美線土師駅の写真です。

2011年02月11日 02時57分50秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 駅のプラットフォームから撮った『因美線・土師駅』の写真です。因美線は因幡(いなば)と美作(みまさか)を結ぶ鉄道で、津山から鳥取まで走っています。時刻表を見ると、例えば「鳥取行」なら朝7時44分に一両編成の気動車が出たら、次は12時35分です。その間5時間ほど「上り」の列車はありません。なおこの線では鳥取方面に行く気動車を「上り」というそうです。
 この写真は、去年の9月に智頭町『板井原集落』を見て、吉岡温泉に泊ったときに撮りました。帰りに智頭インターチェンジで下り、津山方面に車で少し走ってみました。「土師駅」(はじえき)と「那岐駅」(なぎえき)に寄ってみたかったのです。
 稲刈り直前の駅からの眺めです。線路は単線で電化されていません。線路にスギナが生えていますが走行に支障はないでしょう。駅舎はたたみ一畳大の吹きさらしの雨よけがあるだけで、改札口も便所もありません。自由にプラットフォームに出ることができます。そして駅前には数軒の家があるだけで人の姿はありませんでした。
 実はこの「土師駅」「那岐駅」にはぼくの思いがあります。駅に降り立ったことはありませんが。むかし倉吉に帰省していた若い頃は、山陰線の倉吉駅から鳥取駅まで汽車に乗り、鳥取駅で因美線に乗り換えて津山に行き、その列車が津山から姫新線で姫路に出る。そして山陽線に乗り換えて阪神間に出てきました。特急か急行か忘れましたが、そのルートで『みささ』という列車が走っていた時代もあります。
 むかし蒸気機関車の引く因美線の列車は鳥取駅を出ると快調に走り、やがて中国山脈にさしかかってスピードが落ちてきました。県境が近づく「土師駅」では止まらないで通過してもはっきり駅名が読めます。やがていまにも止まるかと思うほどのろのろ走るようになり、「これなら線路を歩いてこの汽車にとび乗れる」と思うほどのスピードで「那岐駅」を通過します。県境の長いトンネルの途中から列車はスピードを出します。そして岡山県に出ると快調に走って津山に着きます。
 トンネルを出ると気候も空気も沿線の景色もちがいます。山陰と山陽のちがいを体感しました。暗いところから明るいところへ出ていくような、寒いところから暖かいところへ出ていくような、寂しいところからにぎやかなところへ出ていくような、ふさがれたところからひらかれたところへ出ていくような、そんな路線でした。
 この駅はいま深い雪に埋もれているでしょう。この地の人たちは、なにを思いながら春を待っているでしょう。それにしてもプラットフォームからこんな景色が見られる駅には、心ひかれます。
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする