能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

『昭君』鑑賞ガイド その3

2011-06-22 07:23:41 | マジメ能楽 楽屋表話
今週の投稿は日曜日に勤める『昭君』一色です。

『昭君』シテ 粟谷明生 ツレ 内田成信 ワキ 大日方寛
喜多自主公演6月26日(日)於 目黒喜多能楽堂 3時頃

『昭君』の能をご覧になるにはまず「本舞台中央に柳の木がある!」と想像して下さい。

想像です!

実際は何もありませんよ。

他流では、柳の作物を置いたりしますが・・・
その方が判りやすくて、親切でいいのですが・・・・、
今回の喜多流の演出では、柳の木はありません。
出さない、不親切な演出です。
でも我慢して下さい。

私たち演者は、舞台正面先に柳がある!
と思って演じますから、どうぞ皆様もご覧になるとき
「舞台の正面先に柳が見える~~、柳が一本植えてある、植えてある、植えて・・・」
と想像して下さいね、お願いします。

さて、昨日の投稿の続きです。

老人(前シテ)が柳の木陰を清め終わると、
里人(ワキ)が昭君の弔いのためと尋ねて来ます。

里人が柳を清める理由を尋ねると、老父は娘の言い残した

「もしも私が空しくなったら、この柳も枯れるでしょう」

の言葉を話し、この柳が最近枯れはじめたのを深く嘆くのでした。


『昭君』には口伝の謡が幾つかあります。

前シテ「♪ この柳も枯れ候・・・」の「枯れ」

前シテ「♪ 鏡に映して影を見ん」の「見ん」

後シテ「♪ 韓耶将が幽霊なり」の「なり」

これらは謡本に特別な謡い方をするように記載していませんが、
この三個所は、強く、激しい興奮の気持ちを込めて謡います。

謡い方は聞いて覚えます。

能の世界の伝承は

1 観て

2 聞いて

覚えるものですが、

『昭君』謡の伝承は、特に上記の三個所が重要な個所です。


どのように粟谷明生が謡うか?

柳を想像しながら、聞いて下さい。

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