能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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上野発の改修考

2012-07-04 00:42:58 | 言いたいこと・伝えたいこと 
まだ「ういの~」と駅のアナウンスが流れていた頃、上野駅は汚く不衛生なダーティな日本の裏玄関、というイメージが強かった。

「♪上野発の夜行列車降りた時から、青森駅は雪の中・・・♪」と石川さゆりの歌う『津軽海峡冬景色』を聴くと尚更、どうもあの薄暗い昔の駅を想像してしまう。まだ16、17番線などの常磐線ホームはその面影が少し残っているが、山手線や京浜東北線の上に出来たスペースは見事に綺麗に変身した。

食べ物屋から洋服屋、本屋などすべてのショップがお洒落な店構えになった。トイレもとても綺麗になり、あの暗いイメージは湧かない。そのうち16、17番線がある下の部分も綺麗に変わるだろう。綺麗に越したことはない、と思いながらも、ちょっとぐらいあの暗さも残しておきたい、でなければ上野じゃなくなる、なんて思うところが我ながら身勝手だと思う。なにか郷愁をさそうものを残してほしい・・・と、まあ我が儘に尽きるのだが。

さて今回の日立の稽古は日立多賀駅ではなく、久しぶりに日立駅で下車。で、ホームに降りて驚いた。これまた駅が改装されていた。海が見える眺望のよいガラス張りのお洒落な駅だ。



以前の駅が懐かしい、とは全然思わない。綺麗な方が断然いい。とまあ新しいものはいい、どんどん新しくなれ、と言いながら、片方で郷愁云々をいう自分、我ながら信念のなさに呆れる。




変えるべきもの、変えないでいいもの、この仕分けを考える時が間近に迫ってきた。
喜多能楽堂の本舞台と橋掛りは直したばかりだが、その他は不具合が目立ってきた、老朽化というやつだ。どのように改修するのか、もういっそのこと能楽堂自体を建て替えた方が…、とも思えて来た。世の中の仕組みを勉強して、資金の工面をして、財団の運営そのものを見直す、課題は山積みだが結構楽しめそうで充実した時間が過ごせそうだ、結構、結構と自己暗示をかけている。

写真 上野駅 日立駅 撮影 粟谷明生

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2 コメント

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世の中は・・ (黒澤)
2012-07-04 04:45:52
世の中は常に移り変わってゆきます。諸行無常。昔を残してほしいと思うのは人間らしい“執着”です。能楽堂は変わっても、六平太精神は変わらなければいい。でも能楽堂が変わるのはみんな楽しみにしていると思います。
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そうですが・・・ (どうきゅうせい)
2012-07-04 09:21:03
壊して新しくするのは簡単。

例えば、ですが、近年における、Dresden の宮殿や教会再建の例もあります。

あとは、人間のヤル気と強い思いの問題です。人任せにしている限りは、ぼやくしかありません。
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