能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

素人の地謡

2006-05-16 10:17:02 | 父・故粟谷菊生の話

今朝起きたら広島は雨!
昨日の広島薪能は出来てよかった!とつくづく思う!
薪能は気候さえよければ、屋外のロケーションを楽しめていいが、主催者側は天候が心配でたまらないのだ。
写真は舞台作りを手伝って下さる地元の喜多流愛好家だ。
皆様!お疲れさまでした!有難うございます!

昨日の番組は『忠度』中村邦生氏、『羽衣』出雲康雅氏。
地謡の前列は地元の喜多流愛好家の教授、教士などの応援で運営されている。

金をとる催しに職分、内弟子以外が出るのはなにごとだ!~~~
といわれればそれまでだが~~~。
諸般の事情があるので~その辺はご勘弁いただきたい。

問題は『羽衣』の地謡だ
お囃子方にご挨拶後、後列の父、大村定さん、長島 茂君と私は何事もなく無事済んだと楽屋で和気藹々着替えていたら、楽屋内から地謡が不揃い!と指摘された。

原因は前列が後列の声を聞かずに合わせずに勝手に謡っていたから。
曲目が『羽衣』なので前列のみなさんはお得意なのだろう~~~

『忠度』の方は?と聞くと~~~
「ありゃー大丈夫だったんよ~~」とのこと。
こちらは自信がないのか、はたまた後列に合わせるという心得をお持ちだったのか~~

直会の席でついに父が爆発!
「あんたら後列の声を聞きんさいよ!」
「へえ~~し~~~ん」

「あなた方が折角の『羽衣』をだめにしたんだよ!」
「し~~~ん」

「『羽衣』だから~みんな覚えているから大声出したんだよ!それじゃ困るんだよ!」
「すんません、以後気をつけますけー~~~」

隣にいた私は
「あ~~父だから言えるんだな~~」
「ちゃんとこのような時に注意して、けじめは付けなきゃいけないんだな~~」と

お説教を受けた皆さま方を見ると~~~
皆、うなだれている。

そして最後のトドメ!
とまた父が口を切った。

「でもあんたら謡っていて楽しかっただろうよ~~気持ちよかっただろ~~?
人間国宝を手玉にとって、翻弄させたんだから~~~」

「は~~あ、はあーーーー」(笑い)

いつもながら父の落としどころのうまさは絶妙だ!


最新の画像もっと見る