能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

体験教室・仕舞『湯谷』の謡は・・・

2014-09-25 07:40:10 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
26年度、特別体験教室・粟谷明生の能楽教室の仕舞は『湯谷』を指導しています。

受講されている皆様には「寺は桂の橋柱」と大きな声を出して謡っていただいておりますが、「なにを謡っているのか意味を知りたい!」とのご意見があり、日本女子大の石井倫子先生にわかりやすく現代語に訳していただきました。
恥ずかしながら私、「あ!そういう意味だったのか」と発見もありましたので、これから参加される方、また今まで受講された方々へ、そして能にご興味のある方々にご紹介したいと思い記載しました。石井先生には、仕舞部分のみを簡単に、とお願いしましたこと、を補足させていただきます。



寺の名前は桂橋寺。
立ち出でてあたりを見ると、峰のあたりには雲も桜と見まごうばかりの趣で初桜が咲き乱れ、近くには祇園林や下河原が眺められる。

また遙か南の方を眺めると、大慈悲の心で我々衆生をお守りくださる熊野権現をお移しした、そのお名前も同じ今熊野社が霞に浮かんで見える。稲荷山は秋の紅葉で有名だが「青かりしより思いそめてき(まだ青いころから紅葉の美しさを思い始めた)」と和歌に詠まれたように、春なので今はまだ青葉。

「ただ頼め(ひたすら我を信じよ)」と衆生済度の誓いを立てられた清水観音の仰せの通り、清水の春景色はまことに頼もしい限り。のどかでうららかな春の日差しの中で、桜の花は今を盛りと咲いている。




このような情景を思いながら、謡い舞う、お稽古です。
第五期へのご参加をお待ちしております。

追加

来年27年度の能楽教室は、お祝の謡と仕舞の『高砂』となります。
日本でのオリンピック開催が決まり、これから多くの外国の方々が日本に来られます。そして彼らは必ずこう言われるでしょう。

「日本の歴史的な文化はなに?」 

「日本人のあなたは文化的なものの、何をしていますか?」と。

その時「能は600年前から今まで続いている日本古来の伝統芸能です。私はちょっとですが謡えますよ。謡いましょうか? 舞うことも出来ますよ、お見せしましょうか?」

こう答えられるように、と思って日本の方々に能を指導していきたいと思っています。

文責 粟谷明生
写真 小面「初草」粟谷明生撮影


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