能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

売り方

2013-06-20 11:48:38 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
近頃の日本酒は本当にうまい。うまいからついつい沢山呑んでしまう。
私は特に冷えたのが好きで、冷たくないのは気に入らない。だから一人で一合を頼むと、最初はいいが、そのうち、あのキーンと冷えた口あたりがなくなり、つまらなくなる。
いわきの寿司屋「いとう」は日本酒の銘柄が豊富に並んでいた。

「どれがいいかな・・・」
と悩んでいたら、
「一合の半分、五勺でもお売りしますよ」
と気の利いたことを言って下さる。よいサービスだ。何故いままでなかったのだろうか。いや私が知らなかっただけかも。

ふたりで一合を呑むとしても、せいぜい3~4種類だが、一合の半分ならば単純に二倍の6~8種類の酒が楽しめる、というわけだ。いろいろな店で五勺販売を願いたい。

今日本酒にはビンテージ物というのか、一升瓶で5万円円以上の高価な限定品もある。例えば、一升瓶が5万円なら一升十合だから一合5000円となる。一合5000円では高過ぎて注文するだろうか。しかし五勺ならどうだろう? 半分だから2500円、これならいけるかもしれない。でもまだ高いぜ、と思われる方には・・・。
もうひとこえ。そのとき、ご主人はこう続けた。

「高くてなかなか呑めない酒、でも、おちょこ一杯でもよければとお出しして呑んでいただています。一杯625円となりますが、どうでしょうか。美味いですよ」
こうすると
「じゃ~一杯試してみようかな~」

となる。

なるほど、うまい売り方があるものだ、と感心した。
売り方、いろいろ考え直すと面白いかもしれない。
なかなか売れないなあ、と景気や世の中の流れみたいなもののせいにしてはいけない。
なんでも考え直す。大事なことを、大好きな江戸前の寿司とおいしい日本酒のお陰で学習出来た。

写真 文責 粟谷明生

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